ウクライナが勝つにはどれだけの支援が必要か

ウクライナ侵攻

今日現在、アメリカと欧州連合(EU)の、ウクライナに対する支援は、塩漬け状態になっています。

アメリカでは、下院で過半数を占める共和党の反対で、追加支援予算614億ドル(約8.9兆円)が議会を通過できなくなっていますし、EUでは今年から向こう4年間で500億ユーロ(約7.8兆円)支援するとの案が、ハンガリーの反対で否決され、それができなくなっています(5)。

2.三つの問い

そのようなウクライナの現状に関して、当然三つの疑問が生じます。

第一、それだけの支援をしたら、ウクライナは勝てるのか。
因みに、ウクライナの勝利とは、一昨年2月24日以降にロシアに奪われた領土と、クリミアの奪還です。

第二、それだけの支援では不十分で、さらに必要だと言うのなら、どれだけの支援をすればウクライナは勝てるのか。

第三、勝てるだけの支援を、今後西側諸国は行いうるのか。

第一に関して。昨年12月に訪米したゼレンスキー大統領は、上院民主党の院内総務シューマー氏に述べたそうです。
「援助が得られればこの戦争に勝てる」(1)

第二に関して。1月18日CNNによって配信された記事です。
「米国防総省の監察総監は18日までに、同省がウクライナへ供与した約10億ドル相当の軍装備品の保管や使用状況などを適切に把握していないとする報告書を公表した。(中略)監察総監の今回の報告書によると、最終的な使用者の確認が必要と規定される装備品は計17億ドル相当に達しているが、約10億ドル分に関しては昨年7月時点で保管などが記録されていなかったという」(2)

その場合、ロシア同様の?腐敗国家ウクライナの人々の、「中抜き」を考慮しなければならないでしょう。

3.問いに対する解答がない

前節の三つの問いに対する解答が、全く!ありません。にも拘わらず、上はバイデン米政権から、下はヤフーコメント欄のウクライナ応援団まで、支援を続けよと言う。

けれども、勝てない程度の支援は、戦争を長引かせるだけです。そして、戦争が長引けば、ウクライナは兵士や市民の人命が失われ、領土は奪われ、国土は荒廃するだけです。

アメリカのジョンソン下院議長(共和党)は、訪米中のゼレンスキー氏との会談後述べました。
「バイデン政権は資金使途についてより詳しく説明する必要がある」、「バイデン政権が求めているのは多額の追加予算だが、適切な監督も勝つための明確な戦略もない。米国民が得るべき答えが何もない」(3)

その通りでしょう。

4.アメリカの軌道修正

第二節の問いに対して答えないまま、バイデン政権は対ウクライナ政策に関して、軌道修正を始めました。1月28日の共同通信の配信記事です。

「27日付米紙ワシントン・ポストは、バイデン米政権がウクライナ支援を巡り、ロシアが占領した領土の奪還よりも、新たな侵攻を抑止することに注力する戦略を策定していると報じた。ウクライナによる昨年の反転攻勢で期待した戦果が得られなかったことで方針を転換した」(4)

元々アメリカの目的はウクライナに勝たせることにあるのではなく、ロシアに勝たせないことにありました。しかし、どうやらウクライナの惜敗(完敗?)是認に政策変更したようです。

(285)

(1) 「ゼレンスキー氏、米議員に支援継続を呼びかけ 『援助あれば勝てる』
(2) 「米がウクライナへ供与の10億ドル分、使用追跡に不備
(3) 「ゼレンスキー氏、米議会に支援継続訴え 共和党は懐疑的
(4) 「米、ウクライナ戦略転換 領土奪還よりも侵攻抑止に注力
(5) 「ブリュッセルで(2月)1日に開かれた欧州連合(EU)臨時首脳会議は、ロシアの侵略を受けるウクライナに対し、今後4年間で最大500億ユーロ(約8兆円)の支援金を拠出することで合意、閉幕した」(「ウクライナ8兆円拠出、EUが合意・・・反対したハンガリーに『異例の圧力』で結束演出」)

【折々の卓説】
「今からほんの3ヶ月前の2023年10月末辺りまで、大手の謂わゆる西側メディアの大半は『ウクライナ優勢』の偏向報道を垂れ流し続けていた。

2023年6月上旬に開始されたウクライナ軍の大規模反転攻勢は、甚大な損失を出しながらほとんど領土を取り戻せなかった状態にも関わらず、だ。

現在では局所的なごく一部の戦果を針小棒大に喧伝するような記事はForbesくらいだと思うが、この期に及んでもそんな記事に嬉々として現実を客観視できない『ウクライナ信者』もまだまだ存在する。

今回の戦争でマスメディアがいかに公正・中立・客観を放棄した出鱈目な報道を行うか、またそれに騙される人間が多いか、目の当たりに出来たことは収穫だったと思う」
(2024年1月24日付、ヤフーコメント欄の某氏の発言)

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