周知の通り、現在イスラエルはパレスチナのガザ地区において、ハマスの掃討を行っています。
その攻撃が激しいためか、画像などを見て、少なからぬ人たちが、その行動をジェノサイドとかホロコーストなどの言葉を使って、非難しています。
たとえば、3月28日にCNNによって配信された記事によれば、「 国連のフランチェスカ・アルバネーゼ特別報告者（パレスチナ自治区の人権担当）は２７日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区で行っている攻撃について、イスラエルが『集団としてのパレスチナ人に対してジェノサイド（集団殺害）という犯罪を犯している』と信ずるに足る『合理的根拠』があると述べた」(1)。
イスラエルの行動は、ジェノサイドと呼ぶのが相応しいでしょうか。
ジェノサイドとは、「特定の国民、民族、人種、宗教集団を破壊する意図によって行われる身体的ジェノサイド(集団殺戮や身体切断、人体実験など)と生物学的ジェノサイド(強制中絶や両性隔離、結婚禁止など)の行為を指す」(2)。
一方、4月10日に配信されたニュースでは、「 米国のオースティン国防長官は９日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、自身の知る限りでは、米国は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区でジェノサイド（集団殺害）に関与したという証拠を持っていないと述べた。
オースティン氏は、イスラエルがジェノサイドを引き起こしたという証拠はないと語った」(3)。
イスラエルの行動をジェノサイドと言う人々は、どのような意味で、その言葉を用いているのでしょうか。
第一、ナチスがユダヤ人に対して行ったのと同様に、イスラエルはパレスチナ人を絶滅しようとしている。
第二、戦前アメリカが日本に対して、東京大空襲を行ったり、広島、長崎へ原爆を落としたように、イスラエルはハマスの戦意を削ぐため、または、後者の降伏を促すために、ガザの市民をも、攻撃の対象にしている。
第三、イスラエルによるハマスに対する掃討戦で、ガザの市民が、巻き添えになっている。
その他の解釈もあるかもしれませんが、イスラエルがジェノサイドを行っていると主張する人たちは、上記のどのレベルのことを、ジェノサイドと言っているのでしょうか。
私の見たところでは、彼らは第三のレベルのことをジェノサイドと言っているように思えます。
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(1) 「イスラエルの行為はジェノサイド、国連特別報告者が『合理的根拠』示す」
(2) 『国際関係・安全保障用語辞典』(ミネルバ書房、第二版)
(3) 「ガザでの集団殺害へのイスラエルの関与、『証拠ない』 米国防長官」
