ウクライナはロシアに勝てると思っていた!?

ウクライナ侵攻

昨年11月1付英エコノミスト誌の記事によれば、ウクライナ軍の総司令官ザルジニー氏は、昨年6月4日の反転攻勢開始の時点で、「『反転攻勢が上手く行く』と信じていた」という(1)。
ん!?

昨年3月における、習近平氏の侵攻後初の訪露は、一年以上戦争を観察して、「ロシアの負けはない」と踏んだ上での中共の判断だと思いましたし、5月20日のバフムートの市街地の陥落によって、「ウクライナの勝ちはない」と私は確信しました。
バフムートを死守することさえできないウクライナが、ロシアから奪われている国土の約二割を、力によって取り戻すことができるはずがないからです。

しかも、バフムートの実質的な陥落の半月後に(!)、反転攻勢を開始しているのです。そして、その時点でも、ザルジニー氏は反転攻勢が上手く行くと考えていたことになります。
まさか。

もう一つ。
一昨年の2月24日の侵攻開始より前、ロシア軍はウクライナ国境付近に集結していました。
それなのに、なぜゼレンスキー宇大統領はプーチン露大統領と電話会談するなり、モスクワへ飛んで直談判するなりしなかったのでしょうか。

バイデン米大統領は、「(プーチンが)ウクライナに侵攻するのは明らかだった」けれども、「ゼレンスキー氏は聞く耳を持たなかった」と述べています(2)。

また、東野篤子筑波大学教授は、「私はウクライナやバルト諸国やポーランドといった諸国の研究者との付き合いが多く、彼らは『ロシアはやる気だ』と一昨年(2021年)ぐらいから絶望視していました」と語っています(3)。

これらの証言から、ゼレンスキー氏はロシアの侵攻があるのは分かっていた、けれども、和平のための行動はとらなかったと判断せざるをえません。
では、なぜ氏は和平のために動かなかったのでしょうか。
戦争で勝てると信じていたから、ではないでしょうか。

以上の二点、私には不思議に思われます。

(280)

(1) https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/general-zarzini-commented-on-the-evaluation-of-the-counteroffensive-operation-but-i-was-wrong/
(2) https://www.afpbb.com/articles/-/3409333
(3) 『正論』2023年3月号、155頁

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