大国・強国は自国の安全保障に関しては積極的に対処する

平和論

一昨年2月24日から始まったロシアのウクライナへの侵攻にしろ、昨年10月7日ハマスによる攻撃に対してイスラエルが行っている掃討作戦にしろ、世の多数派の意見とは異なって、私は両国とも、自国の安全保障のための行動であると考えます。

前者に関しては、NATOの東方拡大や、とりわけ米英に軍事強化されたウクライナからロシアが受ける脅威は過大評価であるとか、後者に関しては、イスラエルのハマス掃討戦は過剰な反撃だとかの批判はあるかもしれません。が、基本的にはロシアもイスラエルも、自国の安全保障のための軍事作戦を行っている、少なくとも両国がそう考えているのは、間違いないでしょう。

殆どの人たちは、一昨年の2月24日侵攻直前にプーチン大統領が行ったテレビ演説を読まずにロシアを非難しますが、同国はそこで侵攻の動機は自国の安全保障の問題であることを明確にしています。一方、10月7日ハマスによってあのような攻撃を受けたのなら、軍事的な能力を有する国が、掃討戦を行うのは当然ではないでしょうか。

ロシアやイスラエルのみならず、アメリカだって2001年の9・11テロの後、「発熱」して、アフガン戦争やイラク戦争へ突き進みました。
すなわち、大国・強国は自国の安全保障に関しては積極的に対処します。

一方、では反対の、小国・弱国はどうでしょうか。
彼らは、大国や強国と国力の差がありますから、自国の安全保障に関しては、消極的にしか対処できませんし、もしくは、殆んど対処できないかのどちらかです。

そして、国際社会の大部分の国は、小国や弱国なので、安全保障に関して、彼らは大国や強国に翻弄されざるをえません。だから、翻弄されないための保険として、彼らは国際法や国連憲章や国連決議を尊重します。要するに、国際法以下は、小国や弱国のよりどころです。

しかし、大国や強国は、国際法その他よりも、自国の安全保障を優先します。だから、それらを破る大国が時々現れます。アメリカ、ロシア、イスラエル・・・
大国や強国は横暴です。しかし、その半面小国や弱国は彼らに守られているのも確かなのです。

大国や強国の行動を非難するのも良いでしょう。しかし、彼らを非難したからと言って、大国や強国が行動を変えることはありません(注)。

ウクライナ侵攻やハマス掃討戦が終わったとしても、いつかまた某大国が自国の安全保障のために同じような行動をとるでしょう。
私たちは再びそれを目にすることになるでしょう。

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(注)
ウクライナへ侵攻するロシアが、ハマスを掃討するためにガザへ侵攻するイスラエルが、(能力が許す限りの)目的を達成せずして、引く訳がありません。
そして、弱い側が強い側の、敗者が勝者の意思に従わなければならないというのが、世の習いです(2024・2・12)

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