ウクライナの劣勢は米共和党の責任か

ウクライナ侵攻

ロシアの侵攻を防御しようとするウクライナ軍は、かなり前から砲弾不足、兵員不足が指摘されていましたが、ここにきて砲弾不足が深刻になり、2月17日ついにドネツク州の要衝アウディイウカから撤退することになりました。

「ウクライナのクレバ外相は20日、CNNの取材に対し(中略)、ウクライナが『防衛に必要な弾薬をすべて受け取っていれば』アウジーイウカを失うことはなかっただろうと述べた」(1)
結局、翌18日ロシア軍が同地を制圧しました。

砲弾不足の原因については、総額953億ドル相当の追加予算案(イスラエル向けも含む)が、米下院共和党の反対によって可決されず、軍事支援が実施されないからだとされます。
そのため、バイデン氏は、米連邦議会の無為を非難しました(2)。

また、マスメディアや、たとえばヤフーコメント欄でも、ウクライナ軍劣勢の責任は共和党にあるというような主張も多数見られます。
しかし、そうでしょうか。

2月1日公開の記事「ウクライナが勝つにはどれだけの支援が必要か」でも書きましたが、

第一。米下院で予算案が可決され、支援が実施されたとして、それによってどれだけの、ウクライナ軍の軍事的成果が見込めるのか。
その額の支援で、どれだけロシア軍の攻勢を阻み、どれだけウクライナ軍は押し戻せるのか、さらに、ウクライナ勝利の、あるいは、アメリカによるウクライナ支援の目的は達成できるのか。もし達成できないのだとしたら、

第二。今後ウクライナに対する軍事支援は、どれだけ必要なのか。

第三。そのような軍事支援を、アメリカのみならず西側諸国は行いうるのか。

これらの、肝腎な問いに対して、バイデン政権は全く答えていません。それにも拘らず、とにかく支援をせよと言う。
しかし、同政権がそれについての説明責任を果たさないから、共和党は首を縦に振らないのでしょう。ジョンソン下院議長(共和党)は述べています。

「バイデン政権が求めているのは多額の追加予算だが、適切な監督も勝つための明確な戦略もない。米国民が得るべき答えが何もない」(3)

ウクライナ劣勢の原因を下院共和党に負わせるのは、責任転嫁だと言うべきでしょう。

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(1) 「弾薬が届けばアウジーイウカ失わなかった ウクライナ外相
(2) 「ウクライナ軍の東部要衝の撤退、米議会の『無為』原因とバイデン氏
(3) 「ゼレンスキー氏、米議会に支援継続訴え 共和党は懐疑的

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