ウクライナもパレスチナも戦えば戦うほどジリ貧になる

ウクライナ侵攻

1.ロシアによる北海道侵攻はあるか

今年1月の、ヤフー記事のコメント欄からの抜き書きです。

「ウクライナが敗戦すれば次は、どこをねらうのでしょうか。日本かヨーロッパか。いずれにしても、ウクライナは降伏してはいけません」
「ウクライナへの支援は続けるべき。ウクライナが敗戦すれば・・・そうなると次はフィンランドか日本が標的になる」
「ウクライナが勝てば日本は安泰。負ければ次は日本。沖縄や九州や北海道が火の粉になるけど・・・」

ウクライナが負ければ、次は日本でしょうか?
動機と力の両面から考えてみましょう。

A.動機について

第一。元々、ロシアはフィンランドやスウェーデンがNATOに加盟するのを、さほど問題にしていません。
同じルーシであるウクライナが反ロシアの基地として軍事強化されるのが許せなかった。
第二。同じルーシのウクライナにはロシア系の住民が居て、ウクライナ政府は彼らを迫害していた。
第三。北海道には、ロシアが解放すべきロシア系住民=ロシア語話者はいない。
第四。ウクライナは歴史的にロシアの勢力圏の国である。少なくとも、ロシアはそう考えている。
第五。北海道への侵攻を、ロシアは正式に表明していない。

B.力について

第一。ウクライナはどの軍事同盟にも加盟していなかったのに対し、日本はアメリカとの軍事同盟があるし、在日米軍もいる。日本はアメリカの勢力圏の国である。
第二。ロシアの領土は広大で、しかし、人口は日本より少し多いくらいに過ぎず、にも拘らず、ヨーロッパ正面、中央アジア、支那方面にも兵力を割かねばならず、ロシアには、北海道へ侵攻する余力はない。
第三。アメリカ同様、ロシアも二正面三正面で戦う能力はない。ウクライナ侵攻はそれを示した。

要するに、ウクライナの次に、ロシアは北海道へ侵攻するというのは、一部の人たちの妄想にすぎません。

2.もし北海道がとられたら

一歩譲って、一部の人たちの予想が正しく、実際にロシアが侵攻し、北海道が奪われたとしましょう。その時、日本はどうすべきなのでしょうか。

ウクライナは東部と南部地方の広い地域をロシアに奪われ、しかも、そのような状況において、停戦論が語られる現実を見て、ある人は言っています。

「なぜ領土を奪われて諦めないといけないのですか?日本がロシアに北海道を奪われてしまっても、(中略)停戦するのですか?」

この人は、停戦せずに戦えと言う。
こういう場合には、我彼の力の差を考えなければならないでしょう。

第一。もし彼の力よりも我の力の方が優っているのなら、戦って領土を取り戻せばよいでしょう。
第二。しかし、我の力よりも、彼の力の方が優っているのだとしたら?しかも、両者の力の差が、かなりあるのだとしたら?
次のようになります。

奪われた北海道を取り戻そうとして戦って、東北地方を奪われ、東北以北を取り戻そうと戦って、関東地方を奪われ、関東地方以北を取り戻そうと戦って、中部地方を奪われ、中部地方以北を取り戻そうと戦って・・・最後は日本は九州だけになりました、となりかねません。

我彼の力の差が大きければ大きいほど、彼と戦えば、我の方はジリ貧になります。

3.ウクライナとパレスチナ ジリ貧のスパイラル

もしウクライナとロシアの力の差が、

ウクライナ>ロシアなら(但し、A>Bは、BよりもAの方が強い)、戦えば良いでしょう。しかし、

ロシア>ウクライナなら、ウクライナはロシアと戦えば戦うほど、人命は失われ、領土は奪われ、国土は荒廃します。すなわち、ジリ貧になります。
そして、現実は、ロシア>ウクライナです。

この点は、パレスチナも同じです。
もしパレスチナとイスラエルの力の差が、
パレスチナ>イスラエルなら、戦えば良いでしょう。しかし、

イスラエル>パレスチナなら、パレスチナは戦えば戦うほどジリ貧になります。
そして、現実は、イスラエル>パレスチナです。

昨年7月1日に、「弱国は戦えば戦うほどジリ貧になる」という投稿文を公開しましたが(それは消失しましたが)、強国と戦えば、<弱国は戦えば戦うほどジリ貧になる>というのが通則です。

ウクライナもパレスチナも、ジリ貧のスパイラルの真っ只中にあると言えるでしょう。

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