反米の理由

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管理人のよもぎねこさんが、6月22日に公開した記事「反米・反ヨーロッパ・反イスラエルでも中国にはダンマリ イスラム教徒の不思議」に、下記のコメントを行いました。
主として、本文中の、「イスラム教徒によるテロや暴動など、暴力行為の本質って、実は信仰でも何でもなくて、欧米やイスラエルの豊かさへ嫉妬と怨嗟じゃないですか?」の文言に対してです。

「2001年の9・11テロの後、左派や自称保守派(西部邁氏や小林よしのり氏)は、テロリストの造反有理を擁護しました。
なぜ世界から嫌われるのか、アメリカは反省しなければならない、のたぐいの言説です。
彼らの発想は、テロリストが、あれだけ大それたことをやったからには、それなりに合理的な理由があるに違いない、ということでしょう。

しかし、首謀者ビン・ラディンの発言を見ても、パレスチナ問題や、湾岸戦争を契機にアメリカがサウジアラビアに軍隊を駐留させたことなどに言及しているものの、自分たちはこのために9・11テロを実行したのだ、という決定的な理由を語っていません。
『オサマ・ビン・ラディン 発言』(河出書房新社)を読みましたが、なぜ9・11テロを行ったのか、不明です。

そもそも、彼らの行動に合理的な理由を求めること自体が間違っているのかもしれません。
9・11テロの原因は、イスラム過激派による、アメリカに対する『嫉妬と怨嗟』ではな(い)かと思います」【( )内 原文脱字】

それに対して、よもぎねこさんから返答をいただきました。一部を引用します。

「右翼にも左翼にも反米は多いのですが、しかし右派、左派関係なく反米の理由って『アメリカがデカイ顔をするのが面白くない』だけじゃないでしょうか?」

これは、反米論者の心理を、的確に衝いていると思います!

後、若干補足をするなら、左派(社会・共産主義的左派)の場合は、アメリカが資本主義世界の牙城だからでしょう。
一方、自称保守=反米保守派の場合は、なぜでしょうか。
彼らはニッポン・ネオコン(転向保守)です。冷戦終了間際もしくは冷戦終了後保守=右派に転向した、元左翼です。左翼だった時代、彼らは当然反米でした。
社会主義を信じたのは間違いだったけれども、反米に関しては正しかった!
せめて、反米に関しては一貫していることを示したい(かった)のでしょう。

オウム事件、真相は必ず解明できるか

「あれだけだいそれたことをやったからには、それなりの理由があるに違いない」。

坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件がオウム真理教による犯行だと発覚し、世間の人たち、とりわけ左派の人たちが抱いたのは、以上のような感想でしょう。その点、9.11テロの場合も同じでした。
ところが、教祖以下、実行犯が逮捕され、裁判になっても、一向に皆が期待した解答が得られません。裁判が始まってから二十年以上が経って、今年7月教団元代表の麻原彰晃以下12名が死刑になりました。「それなりの理由」は不明なままです。
もし彼らがテロを行った合理的な理由があるのなら、二十年以上も時間はあったのだから、しかも13名に対して死刑判決が下ったのだから、誰かがその一端でも述べることがあっても良さそうなものです。

たぶん尊師でさえ、何をしたかったのか自覚がなかったのではないでしょうか。「あれだけだいそれたことをやった」にも拘らず、合理的な理由はなかったと解するのが合理的ではないでしょうか。
朝日新聞の元編集委員氏は書いています。

「なぜ私たちの社会に、私たちの時代に、あのような集団が生まれ、事件が起きたのか。死刑囚全員の死刑執行によって、私たちはその真相を知る機会を永遠になくしてしまったのかもしれない」(朝日新聞2018・7・27)。

相変わらず、思わせぶりですが、首謀者当人にさえ目的が明確に意識されていなかった、そのようなテロの真相の究明は可能なのでしょうか?

9・11テロ、その動機と目的

2001年9月11日、乗員・乗客をのせた旅客機がテロリストたちに乗っ取られ、その内の二機がニューヨークのツインタワーに激突し、ビルが崩落したのは衝撃的でした。多くの人たちはテレビに釘付けだったでしょう。それもさることながら、その事件の後の、わが国の少なからぬ人たちの発言も驚きでした。
テロの首謀者オサマ・ビンラディンは、テロの目的を語っていません。それなのに、日本の評論家やジャーナリストは、彼の動機を忖度し、あれやこれや放言していました。たとえば、「アメリカは反省しなければならない」。
そもそも、テロリストの動機がはっきりしないのに、アメリカは何をどう反省せよというのでしょうか。
彼らは、「テロリストの動機」と、「『テロリストの動機』だと自分が考えること」の区別さえついていないようでした。自らの反米的意見、というよりも感情をテロリストに仮託しただけなのでしょう。
ビンラディンは、2011年5月2日パキスタンの隠れ家で米特殊部隊に殺害されるまで、テロの目的を語る時間も手段もあったはずです。にも拘らず、彼は私たちが納得できるように説明することはありませんでした。
あるいは、一次資料を用いて、彼の目的を証明しえたジャーナリストも学者もいないだろうと思います。
たぶん、首謀者当人さえ、何が目標なのか分かっていなかったのではないでしょうか。アメリカに対する愉快犯、というよりも不愉快犯だったのかもしれません。
9・11テロの原因=テロリストの動機は何だったのでしょうか。それは分からない、としか答えようがありません。