1.年上のひと
超もてない男いけまこは、今年殆んど彼女いない歴61年を迎えました。
「殆んど」には、見えも含まれています。
結婚相談所に入会して活動をしている訳ではありません。が、自称婚活中です。
先月20日、仕事の関係先の、訪問した時は挨拶を交わしている女子社員と会話をしていて、彼女には婚歴がなく、独身なのが判明しました。少し年下かと思いましたが、話から年上のようでした。
ひょっとしたら、彼女になって貰えるかもしれないし、結婚もできるかもしれない!
狂喜しました。
彼女も私も、老母と二人で暮らしていますし、何れ同居できそうだし、その他の条件を考えても、相性が良いように思えました。
今月2日、自身の携帯番号を記し、また彼女の番号を尋ねる内容の紙片を手渡しました。近くで見る彼女は、優しそうな顔をしていました。この人に決めた!
その夜彼女から、ショート・メールが来ました。翌日も、彼女とメールを交わしました。でも、メールでは複雑な話はできないし、もどかしいので、翌々日彼女が帰宅する時間を見計らって、メールを送りました。
「電話をしたいのですが、何時頃可能ですか。ややこしい話ではありません」
彼女の方から、間もなく電話がかかってきました。
同年輩の、独身の女性が身近にいて、寂しくないし、結婚する意思はないとのことでした。彼女は三つ年上でした。
今年二敗目。
断られることに慣れてきたせいか、泣きませんでした。
生来ぐうたらですし、先月20日から、連休中もずっと彼女のことばかりを考えていたし、酒量は増えたし、まだ後遺症は残っています。
なので、本来のブログは全然進んでおりません。
2.歩くひと
いつ頃からか、朝近くのバス停で降りて、職場の前を歩いて通勤している女性に気づきました。姿からして、四十代後半くらいに思われます。
自称婚活中の身としては、彼女のことが気になっていました。
歩く姿は背筋が真っすぐでしたが、足取りが弾んだ感じではないので、少し生活に疲れているのだろうと勝手に解釈していました。バツイチかなにかで、夫も彼氏もいないかもしれない!
少し先の、病院か保育園に勤めているのかなあ。
ある日、バスが停留所を発車した後、歩道の辺りに用事がある振りをして、歩く彼女に声をかけてみました。
「お早うございます」
「お早うございます」
「どこまでですか」
「駅まで行きます」
病院や保育園が職場ではありませんでした。もう少し先の駅まで歩いて、電車に乗るらしい。
「職場はどこですか」
「〇〇です」
〇〇は遠いですし、さらに電車を乗り継いで行かなければなりません。
「それは大変ですね」
彼女は少し笑って、歩いて行きました。
その翌日から、彼女を見なくなりました。
出勤日は不定期らしくて、それまでにも見かけない日がありましたし、靴によっては音がしなくて、前を通るのに気がつかない日もあったので、あまり気にしませんでした。
翌週、発車した後、職場の前を通り過ぎるバスを遠くから眺めていて、中に彼女の姿があるのを発見しました。近くのバス停で降りるのを止めたんだ。通勤は、電車を止め、バスだけにしたようです。
通勤経路を変える予定の前日に、偶然私が声をかけたのか、それとも変なオジサンを避けたのか。
(歩くひとは、「二敗」には含まれておりません)