ウクライナ侵攻と学者の見識

1.河瀬直美監督の祝辞

少し前の話題になりますが、今年4月12日の、東大の入学式の祝辞で、「映画作家」河瀨直美氏は次のように述べました(1)。

「例えば『ロシア』という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤っていないだろうか?(中略)
そうして自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性があるということを自覚しておく必要があるのです。そうすることで、自らの中に自制心を持ってそれを拒否することを選択したいと想います」

周知の通り、この発言は、物議を醸しました。

2.国際政治学者たちのツィート

現在の日本のおかれている近隣諸国との力関係を見れば、「自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性」よりも、自分たちの国がどこかの国から侵攻される可能性の方が高いのは明らかですから、「自分たちの国がどこかの国を侵攻する可能性があるということを自覚しておく必要があるのです。そうすることで、自らの中に自制心を持ってそれを拒否することを選択したいと想います」という河瀨氏の国際政治認識がズレているのは言うまでもありません。
河瀨氏は、某左翼政党の党員もしくは確信的な支持者なのでしょうか。

それはともかく、河瀨氏の、「例えば『ロシア』という国を悪者とすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら」の文言を見て、一部の国際政治学者たちが逆上して、ツィートしました(2)。

「ロシア軍が殺戮している多くは妊婦や子供など罪のない一般市民。他方でウクライナ軍は、自国の領土を蹂躙して、市民を殺戮するロシアの侵略軍を撃退している。この違いを見分けられない人は、人間としての重要な感性の何かが欠けているか、ウクライナ戦争に無知か、そのどちらかでは」(細谷雄一氏)

「侵略戦争を悪と言えない大学なんて必要ないでしょう」(池内恵氏)

「『どっちもどっち』論を、超越的な正義として押し付けようとする人々が、この社会で力を持っている。
50歳もこえた。なんとか定年まで頑張ってやっつけられないようにするわ」(篠田英朗氏)

・「『どっちもどっち』論を、超越的な正義として押し付けようとする人々が、この社会で力を持っている」
「『どっちもどっち』論を、超越的な正義として押し付けようとする」河瀨氏のような「人々が、この社会で力を持っている」という意味なのでしょうか。それとも、そのような人々が、自分の所属する大学にもいて、閉口しているという意味なのでしょうか。あるいは、一般論として、「『どっちもどっち』論を、超越的な正義として押し付けようとする人々が、この社会で力を持っている」ということなのでしょうか。最後の意味なら、そのような事実はあるのでしょうか。あるのだとしたら、それを証明ないし説明して欲しいと思います。
私が痛感しているのは、むしろウクライナ問題が発生して以来、「どっちもどっち」論?を非難するような意見が氾濫していることですが。

・「侵略戦争を悪と言えない大学なんて必要ないでしょう」
「侵略戦争」を、「悪」と「言」うのが大学の使命なのでしょうか。ある戦争を某国による侵略だと判断するのを疑うことさえ許さない、そのような大学の方が問題で、そのような「大学なんて必要ないでしょう」。

河瀨氏の、「それを止めるにはどうすればいいのか」に対する彼らの答えはありません。国際政治学者なら、対露制裁と対宇支援の強化以外の何らかの案が、頭に浮かばないのでしょうか。
しかし、これだけ対露主戦論が盛り上がっているのに、わが国では、制裁や支援の強化を進めるための立法化の議論さえ、全く沸き起こらないのは、なぜなのでしょうか。

3.高坂正堯氏なら

別の記事でも引用しましたが、前節の国際政治学者たちよりも、学識の高い国際政治学者高坂正堯氏(1934-1996)は、『国際政治』(中公新書)に書いています。

「じっさい国際社会について考えるとき、まずなによりも重要な事実は,そこにいくつもの常識があるということなのである。(中略)
言いかえれば、国際社会にはいくつもの正義がある。だからそこで語られる正義は特定の正義でしかない。ある国が正しいと思うことは、他の国から見れば誤っているということは、けっしてまれではないのである」(19頁)(太字 原文は傍点)

高坂氏の国際政治認識は、細谷氏や池内氏や篠田氏よりも、河瀨氏の、第一節引用文前段のそれに近い。
氏の『国際政治』は、国際政治学者の必読文献ではないのでしょうか。
細谷氏以下は、同著を読んでいないのがバレてしまいました。

ところで、高坂氏が存命であれば、ウクライナもロシアも、「どっちもどっち」だと述べたでしょうか。勿論、そんなことは言わなかったでしょう。しかし、たぶん、氏は次のような云い方をしたのではないでしょうか。
「ロシアによるウクライナ侵攻は侵略です。でもね・・・・」

「ロシアによるウクライナ侵攻は侵略です」なら、ヤフコメ民だって言えます。しかし、国際政治学者、言論人、ジャーナリストなら、「でもね」以下のところで見識を示すべきではないでしょうか。
学者たちが、ヤフコメ民と同じようなことを言っても、仕方がありません。

(1)https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message2022_03.html
(2)https://www.huffingtonpost.jp/entry/shukuji_jp_625625c7e4b0be72bfefec0d

戦争のエスカレーション

・ロシアの部分的動員令→西側の対ウクライナ軍事支援の増大→ロシアの総動員令・・・・行きつく先は、大惨事(第三次)大戦?
ウクライナ・アメリカとロシアのチキン・レース。
双方とも、自分の側が正しいと信じているので、なかなか止められません。

・ロシアの部分的動員令
局地戦争から、全面戦争態勢へ移行中。

・ロシアを追い詰め、中共を挑発。
アメリカの二側面作戦。
バイデン政権は、正気なのでしょうか。

・戦争のエスカレーションは、双方の共同作業です。
片方しかそれに参加しないなら、エスカレーションは起こりません。

・ウクライナもロシアも、そして、わが国の主戦論者=正義派も、「やる気」が収まりません。

・冷戦の教訓
東西の両陣営が、力による決着をつけなかったから、熱戦にならず、冷戦で済みました。
ウクライナ問題も、最終的に力で決着をつけようとしないのが、最悪の事態を避ける道ではないでしょうか。

停戦は遠のいた ウクライナ侵攻

1.私の大胆予想

ロシア軍が完全撤退しない限り、停戦に応じないとか、クリミアを取り戻すとか、大きな目標を掲げる割には、奪われた土地をウクライナは取り戻せなかったので、何れ国民や支援国にあいそをつかされて、ゼレンスキー政権は倒れるのではないかと、9月11日公開の記事「大統領発言と現実の乖離 ウクライナ侵攻」で、中村逸郎教授ではありませんが、大胆予想をしました。

しかし、8月29日以降の、ハルキウ州におけるウクライナ軍の反攻作戦により、私の予想は外れました。もっとも、ウクライナ側の反転攻勢が、この先、いつ、どこまで可能なのかは分かりません。イジューム奪還が陽動作戦によって成ったのだとして、再びその手が使えるかどうか。今後、一進一退ならともかく、戦況の膠着や退却が続けば、やはり政権に赤信号が灯るでしょう。

2.勝利体験

ウクライナ軍による反攻作戦の成功は、国民や支援国、そして、米欧日その他の諸国の支持者たちを勇気づけたことでしょう。
反面、この度の、勝利という成功体験によって、以後も占領地を取り戻せるとの期待感から、また、攻勢に転じうるかもしれない側が、進んで和平を求める訳がありませんから、当分の間、停戦の目はなくなったと見てよいでしょう。
継戦すればするほど、人命が失われるし、ウクライナの領土も奪われるので、早く和平をした方が良いと私は考えましたが、こうなると停戦は無理でしょう。

ウクライナもロシアも、まだまだ「やる気」がある状態ですし、お互いに納得するまで殴り合わないと、停戦の機運は生まれないでしょう。
ゼレンスキー大統領またはプーチン大統領が、暗殺されるなり失脚するなりといった、不測の事態が起こらない限り、戦いは続きそうです。

この先待ち受けているのは、戦没者の更なる増大であり、場合によっては、戦争のエスカレーションでしょう。

国際法と二重基準 ウクライナ侵攻

雑誌『WiLL』2022年6月号の、作家井沢元彦氏との対談で、イスラム思想研究者の飯山陽氏は述べています。

「自由民主主義国家の日本は国際法を遵守しなければなりませんから、ロシアの正義はどうでもよく、ロシアが国際法を違反した事実だけをもってロシアを非難しなければならない」(129頁)

第二次大戦後の、国際連合憲章が誕生して以来に限っても良いですが、国際法違反の行動をとったのは、今回のロシアだけでしょうか。もしロシアだけでないのだとしたら、これまで日本はX国が「国際法を違反した事実だけをもって」、その国を非難してきたでしょうか。していないのだとしたら、なぜでしょうか。あるいは、この度のロシアだけ、なぜ非難すべきなのでしょうか。

雑誌『Hanada』2022年6月号で、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使が対談をしています。その中で、ガルージン氏は発言しています。

「一つ訊いてもよろしいでしょうか。なぜアメリカが二十世紀末に一回、二十一世紀に三回、主権国家に対して非人道的な軍事侵攻を行った際に、日本はアメリカに対して制裁を発動しなっかったのでしょうか」(53頁)

それに対して、櫻井氏は答えています。

「あの時のアメリカは、アメリカなりにきちんとした理由を我々に示したと思っています」(同前)

櫻井氏の返答には、説得力がありません。その後、ガルージン氏は、「残念ながら二重の規範を感じざるを得ません」(同前)と語っています。ガルージン氏の発言の方が、説得力があります。

ロシアによるウクライナ侵攻で明確になったのは、といっても、同侵攻に関してだけではありませんが、世界にも日本にも、二重基準をものともしない人々がいるということです。
どうしてアメリカ(あるいは、イスラエル)が国際法に違反するのは構わなくて、ロシアのそれは非難しなければならないのでしょうか。それに対してきちんと説明しないまま、あるいは、そのような二重基準さえ気が付かないまま、多くの人たちは、ロシア非難に熱中しています。

ところで、飯山氏との対談の、井沢氏の、次のような発言も気になりました。

「ロシアに降伏すれば、待ち受けているのは『死』であることをウクライナ人は知っている。だからこそ、命をかけて必死の抵抗を続けているわけです」(131頁)

その主張の「変奏」例を挙げましょう。
A、戦前の降伏前の日本について
アメリカに降伏すれば、待ち受けているのは『死』であることを日本人は知っている。だからこそ、命をかけて必死の抵抗を続けているわけです。

B、戦前の支那(中華民国)について
日本に降伏すれば、待ち受けているのは『死』であることを支那人は知っている。だからこそ、命をかけて必死の抵抗を続けているわけです。

井沢氏の論を敷衍すれば、AもBも正しいということになります。両者とも、正しかったでしょうか?

歴史が示すのは、勝者は敗者の一部の指導者層を排除した上で、後者を自国に吸収合併するなり(モンゴル帝国他)、独立を認めたまま自国の勢力圏に引き入れるなり(アメリカによる戦後の対日政策)しました。

ロシアにとってウクライナは兄弟国なのですから、国民の殺害が目的ではないのは、明らかです。だから、ウクライナの政治指導者にとって、「ロシアに降伏すれば、待ち受けているのは『死』」かもしれませんが、一般国民にとっては、必ずしもそうではありません。

ロシアに降伏しなければ、待ち受けているのは死である、一方、ロシアに降伏すれば、待ち受けているのは生である、だけれども、前者を選ぶ、というのが、現在のウクライナ国民の公式の見解(勿論、それに反対の国民も少なくないでしょうが)ではないでしょうか。

【追記】
雑文と言いながら、またウクライナ侵攻ネタになってしまいました。
というか、雑文なので、何でもありです。

大統領発言と現実の乖離 ウクライナ侵攻

1.大統領発言と実際の戦況の乖離

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が完全撤退しない限り、停戦交渉には応じないと言っていますし、また、クリミアを取り戻すとも言っています(注)。

けれども、実際の戦況は、そのような威勢の良い発言とは裏腹に、ロシアの方が優勢で、ジリジリと同国の占領地が拡大しています。

現行のロシア≧ウクライナ(+NATO)・(ロシアはウクライナとそれを支援するNATOよりも強い、もしくは同等である)という状態が続く限り、同大統領の主張は、実現不可能でしょう。

では、今後、ゼレンスキー大統領の発言を可能にするような状況、つまり、この先アメリカの参戦なり、NATO諸国による、今以上の軍事支援なりで、ウクライナ+アメリカ(米国の参戦)またはウクライナ(+NATO)>ロシアという状況が生まれる見込みはあるのでしょうか。
これまでのアメリカやNATO諸国の発言や姿勢を見ても、あるとは思えません。

2.なぜ実現不可能なことを言うのか

クリミアのセバストポリには、ロシアの黒海艦隊の基地があり、そこをロシアが手放すとは思えません。そのような要衝を奪還しようとするなら、攻撃側はロシアによる核兵器使用を覚悟しなければならないでしょう。
もしウクライナがずっとロシアとともに歩むのであれば、後者は、クリミア併合は行わなかったでしょう。しかし、ウクライナが「反ロシア」の側に走りそうだから、安全保障上及び地政学上重要な、ロシアにとっても、ウクライナにとっても、黒海への出口の要である、その地を2014年真っ先に押さえたのだと思います。

ロシアが完全撤退しない限り、停戦には応じないとか、クリミアを取り戻すとか、現在のウクライナ(+NATO)の力では達成不可能なことを、なぜゼレンスキー大統領は公言するのでしょうか。あるいは、そのような不可能なことを公言しなければならない何らかの理由でもあるのでしょうか。

第一、NATO諸国は戦う意思のない側に、軍事支援は行わないはずです。故に、軍事支援をして貰うために、ウクライナは「やる気」を示さなければならない。
第二、国民及び自国軍を鼓舞するために、威勢の良いことを言わなければならない。

ウクライナの実際の実力は、ロシア≧ウクライナ(+NATO)のままなので、いくつかの集落とか村を奪還したとの報道はあるものの、ルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン、クリミアの何れか一つの州または地域さえ取り戻すことができません。
一方、国民もNATO諸国も、小さな戦果では満足できません。なので、上記の一つの州を奪還しただけで停戦という訳にはいきません。だから、できないと分かっていても、大きな目標を掲げざるをえないのではないでしょうか。

3.内部から崩壊

少しづつでも、ウクライナ軍が占領地を取り戻せているのなら、国民も軍人も、この先戦い続けることができるでしょう。
しかし、いつまで経っても、実質が伴わない、指導者の景気の良い発言と、ウクライナ軍優勢の過大な報道だけだとしたら?

ウクライナ国民と同国の軍人は、そのような、ろくに戦果のない状態にいつまで、あるいは、どのくらいの期間耐えうるでしょうか。我慢が限度に達した後、ある時一気に戦意が失われる=総崩れになるかもしれません。場合によっては、敵意がロシアから、自国政府に向かうかもしれません。
ロシアには制裁、ウクライナには支援、を行う諸国民も、ウクライナ軍優勢説をいつまで信じていられるでしょうか。

ゼレンスキー大統領の発言と現実との乖離は、ウクライナ側の戦況の不利と焦りを示していると思います。そして、ウクライナ政府が、国民と支援諸国の期待に応えようと、勇ましい発言をするばするほど、それと現実との間に齟齬が生じて、何れ彼らの失望を招くことになるのではないでしょうか。

2月24日の開戦以来、ロシアではクー・デターなり、国民による反乱なりが起こって、プーチン政権は倒れるのではないかという希望的観測に基づく報道がなされました。
しかし、上記の理由から、内部から崩壊するのは、ロシアではなく、ウクライナの側ではないか、あるいは、最近は戦争の長期化の予想が主流になりつつありますが、ウクライナは長期の戦いに耐ええないのではないかと思えてなりません。

(注)
ウクライナは継戦すべきか停戦すべきか

【追記】
要衝クリミアはウクライナに渡さない、はプーチン氏個人の意思というよりも、ロシア愛国者の大方の総意だと思います。

ウクライナは継戦すべきか停戦すべきか

1.ゼレンスキー大統領発言

ウクライナのゼレンスキー大統領は、8月18日に、「『露軍が完全撤退しない限り、停戦交渉には応じない』と表明」(1)しました。
同24日の同国の独立記念日には、「ロシアの侵攻に対し『最後まで』戦い、『いかなる譲歩も妥協も』しないと表明」、「『われわれにとってウクライナとは全ウクライナを意味する。25州について譲歩も妥協もない』と強調」(2)しました。
また、23日「クリミア・プラットフォーム」の記者会見で、「『クリミアを取り戻す。われわれの領土であり、他国との協議なしにわれわれが正しいと決めた方法で取り戻す』と言明した」(3)そうです。

史上、攻勢にある側が、自らの軍事的行動を途中で反省し、退却したというような例はないでしょう。
自主的に「露軍が完全撤退」するようなことはありえませんから、ウクライナが「停戦交渉に」応じるには、同国がロシア軍を力によって「完全撤退」させるしかないということになります。

では、ウクライナはロシアを力によって、完全撤退させることができるのでしょうか。

2.完全撤退させるには

ロシア軍をウクライナから完全撤退させるには、二つの方法しかありません。
第一、アメリカ以外のNATO諸国には、ロシアと対等に渡り合う能力はありませんから、実際にアメリカが参戦するか、
第二、ウクライナ軍の力がロシア軍のそれを上回るだけの軍事支援をアメリカを中心とするNATO諸国が行うか、です。

しかし、第一については、アメリカのバイデン政権は昨年12月に、ロシアが侵攻した場合、米軍をウクライナに派遣することは検討していないと述べました(4)。とするなら、ロシア軍を完全撤退させるには、第二の方法、つまり、ウクライナ>ロシア(ウクライナはロシアよりも強い)になるだけの軍事支援を、NATO諸国が行うしかありません。しかし、彼らは、それだけの支援を行うことができるのでしょうか。

3.継戦すべきか

ロシアによるウクライナ侵攻が開始されて以来、わが国でも、主戦派と和平派の二つの主張におおよそ分かれていて、前者の方が主流派にして多数派です。前者は、ウクライナの徹底抗戦を支援すべきとの立場で、正義派とも称されています。
一方、後者は、ウクライナとロシアの交渉により、停戦もしくは戦争を休止すべきと考えます。後者は、守勢にある側のウクライナは、攻勢の側のロシアに譲歩する形で停戦するしかないとの主張なので、主戦派からはロシア寄りと見做されて、批判されています。
けれども、ウクライナ側とか、ロシア側とは別に、政治的リアリズムの立場がありえます。

もしウクライナ(+NATO)>ロシアなら、ウクライナは継戦して良いでしょう。その場合、軍事的に優位にあるウクライナは、ロシアによって占領された土地(クリミア、ドンバス、ヘルソン)を奪還できるでしょう。
しかし、ウクライナとロシアの力の差が逆なら、つまり、ロシア>ウクライナ(+NATO)なら、戦えば戦うほど、ウクライナは人命も領土もさらに失うことになるでしょう。

4.継戦論に対する疑問

主戦論者=正義派=継戦論者は、どのような認識に基づいて、そのような主張を行っているのでしょうか。

将来アメリカが参戦するなり、NATOが、ロシアの軍事力を上回るだけの兵器なりを、ウクライナに提供するという、何らかの情報なり、確信があって、そのような主張をしているのでしょうか。もしそれなら理解できます。
しかし、どうも、そういう風には見えません。アメリカの参戦も、大量の軍事支援も見込めないのに、ウクライナの徹底抗戦を支持しているとしか思えません。

たぶん、主戦論者は、どうすれば両者の力の差が、ウクライナ(+NATO)>ロシアになるかなど、ろくに考えないまま、継戦論を叫んでいます。戦前わが国の主戦論者同様、必勝の信念があれば勝てると信じているのでしょうか。
それとも、ナポレオンやヒトラー同様、独裁者が戦争指導する場合は、必ず負けるとのジンクスでもあるのでしょうか。あるいは、ウクライナに神風が吹くのを期待しているのでしょうか。

継戦論者に問いたいのは、次の三点です。
第一、昭和二十年八月の時点で、日本はまだ継戦すべきだったのでしょうか。
第二、その時点で、わが国は降伏して良かったというのなら、日本の場合は降伏が良くて、ウクライナの場合は継戦が良いとする理由は何なのでしょうか。
第三、ウクライナはどこまで戦って、駄目なら降伏なり停戦なりすべきなのでしょうか。

5.ウクライナに勝算はあるか

ゼレンスキー大統領は、「クリミアを取り戻す」と言いますが、クリミアのセバストポリには、黒海艦隊の基地があり、ロシアが手放すとは思えません。もしそこが危うくなれば、その時ロシアは核兵器を使うでしょう。

今後、力の差が、ウクライナ(+NATO)>ロシアになる可能性はあるのでしょうか。非常に難しいでしょう。ロシア≧ウクライナ(+NATO)のままでは、ウクライナがロシアから、クリミアだけでなく、全ての占領地を取り戻すのは、殆んど不可能でしょう。

第一節からも窺えますが、ゼレンスキー大統領は、勝つか負けるか=全てか無かという二者択一の思考に陥っているように見えます。政治指導者として、はたしてそのような思考は適切なのでしょうか。

何らかの合理的な理由により、まだ勝算があるから、そのような発言を行っているのなら分かりますが。もしそうでないのだとしたら・・・・西側に支援を求めるために、やる気を示している(大言壮語している)だけなのでしょうか。

(1)https://news.yahoo.co.jp/articles/cdfc4762811c0a6f7f6e599994d2bd7323b2a0ff
(2)https://news.yahoo.co.jp/articles/0e6d9c7fc3666c6cd440fee2e7d2323c00c1e785
(3)https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-crimea-idJPKBN2PT15G
(4)https://www.bbc.com/japanese/59589392

【追記】
雑誌『WiLL』8月号の、渡辺惣樹氏と福井義高氏の対談記事で、渡辺氏は述べています(233頁)

「安倍晋三元首相が英国の経済紙『エコノミスト』(5月26日付)のインタビューで『ゼレンスキー大統領がNATOに加盟しないと約束するか、東部の二つの飛び地に高度な自治権を認めさせれば、戦争を回避することができたかもしれない』と答えています」

松田邦紀・駐ウクライナ大使の発言

8月23日に「ロシアによる侵略から半年『戦争は一つのヤマ場を迎えている』 松田邦紀・駐ウクライナ大使インタビュー」という記事が配信されました(注)。

「福井県福井市出身の松田邦紀・駐ウクライナ大使が22日までに福井新聞の書面インタビューに応じた」とのことで、そこで、「『ロシアの戦争の目的は既に失敗したというのが大方の評価』と国際的な見解を紹介。ただ、今後を明確に見通すことは『容易ではない』と指摘し、『ウクライナ軍の攻勢の帰趨(きすう)を見極める必要がある』と慎重な姿勢を示した」とあります。

「ロシアの戦争の目的は既に失敗した」でしょうか。
「ロシアの戦争の目的」の主目的は、ウクライナのNATO加盟阻止=中立化であり、副目的はドンバスの「解放」でしょう。

ウクライナのNATO加盟阻止は一応果たしていますし、ドンバスの「解放」のうち、ルガンスク州は征服しましたし、ドネツク州もかなりの部分を征服しています。その他ヘルソン州の「解放」も実現していますし、「ロシアの戦争の目的」は、おおよそ達成できています。
松田氏は、「ロシアの戦争の目的は既に失敗したというのが大方の評価」といいますが、「大方」とは、どこの国の、あるいは、誰のことを言っているのでしょうか。

「松田大使は現在、ウクライナとの国境から約80キロ離れたポーランドのジェシュフの臨時事務所で在留邦人の安全確保や避難民の渡航支援などに当たっている」とのことですが、現役の外交官であれば、日本政府の公式見解と合わせるために、ここまで現実と乖離したことを述べなければならないのでしょうか。

(注)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5afd664f5ef873021b03f5e4867a5687d226f80

ウクライナ問題における最大の思考ミス

1.存在と当為を分けて考えない

ロシアによるウクライナ侵攻において、それを論じる人たちの発言を見て、多くの人たちは、ある共通の思考パターンに陥っているのが分かります。

少しでも物を考える人なら、存在と当為、事実と価値、「あること」と「あるべきこと」を区別しなければならないというのが常識なはずです。ところが、ウクライナ問題になると、国際政治学者でさえ、途端にそれを忘れてしまうようです。

小国ウクライナは大国ロシアに侵略されました。
ウクライナは多くの軍人が戦死し、一般市民は、ある者は砲や銃弾の犠牲になり、ある者はロシア軍に虐殺され、あるいは、家や畑を焼かれ、あるいは、難民となって国外へ逃れました。ウクライナは主権を侵され、領土も奪われました。

それを見て、日本国民も心を痛め、憤りました。がぜん勧善懲悪の気持ちが沸き上がりました。弱きを助け、強きを挫くではありませんが、ウクライナを助け、ロシアを挫かなければならない。前者が被占領地を奪還するまで、対露制裁と対宇支援を続けなければならない。そして、戦争でウクライナは勝って欲しい、いや、勝つはずだ。

けれども、「あるべきこと」「あって欲しいこと」と、「あること」は、往々にして相違します。現実には、「あって欲しくないこと」も起こりえます。
戦争の勝敗は、道徳的な善悪によって決まるのではなく、力の強弱によって決まります。なので、ウクライナが、ロシアに負ける可能性もあります。

ところが、多くの人たちは、それをなかなか理解しません。ウクライナは勝ってほしい→勝てるはずである→勝つに違いない、という思考に陥っています。
8月16日公開の投稿でも引用しましたが、佐藤優氏は書いています(注)

「ウクライナ戦争に関する日本の報道は、『政治的、道義的に正しいウクライナが勝利しなければならない』という価値観に基づいてなされている。
このことが、総合的分析の障害になっている」

一言でいうなら、善悪の観点しかなくて、力の強弱という視点が抜け落ちています。

国際法に関する議論もそうです。
A、全ての国は国際法を遵守しなければならない。
B、ロシアによるウクライナ侵攻は国際法に違反している。
AとBから、
C、故に、ロシアも当然国際法を遵守しなければならないし、遵守しない場合は、国際社会は懲罰を加えるべきである。

多くの人たちは、そのように考えていますが、現実はそう簡単ではありません。現実は、

D、ロシアを含めた大国は、場合によっては(とりわけ、自国の安全保障や権益に関わる場合は)、国際法違反の行動をとることがある。しかし、国際社会は、そのような大国に懲罰を加える能力はない。

です。現在中小国がロシアに対して経済制裁を、ウクライナに対して軍事支援を行っていますが、それは、別の大国(アメリカ)の威を借りているから、あるいは、同国から要求されているから、できているだけです。

ウクライナに勝って欲しいと願うことと、実際にウクライナが勝つか否か、勝てるか否かは、区別しなければなりません。また、全ての国は国際法を遵守しなければならないという原則と、大国は国際法を守らない場合もあるという事実を、区別して考えなければなりません。

「あって欲しいこと」=「あること」ではありません。「あるべきこと」「あって欲しいこと」と、「あること」は分けて考えなければならないのに、それができない。
ウクライナ問題における、多くの人たちの、最大の錯誤は、そこにあって、彼らは、「あって欲しいこと」しか考えようとしないから、「あること」が見えないのだと思います。

2.欲する情報に飛びつく

「あって欲しいこと」に固執すると、それに都合の良い情報しか目に入らなくなります。
ロシアによる侵攻以降、ウクライナは勝たなければならない=勝つに違いない派が、喜びそうな情報が断続的に流布しました。

ウクライナ軍優勢説(にも拘らず、ロシア軍は占領地をじりじりと拡大しています)、ウクライナ軍は士気が高く、ロシア軍のそれは低い説、プーチン大統領重病説、ロシアで政変が起こり、プーチン氏が失脚する説、ブチャ他でロシア軍は市民を理由もなく虐殺した(ウクライナは便衣兵による攻撃ー民間人によるロシア軍への銃撃ーを行っていないでしょうか?)説、もしくは、殆んどの戦争犯罪はロシアがおかしている(ウクライナはおかしていない?)説、ロシアは原発を攻撃した(本当に攻撃する気があるなら、とっくに破壊され、大惨事が起こっているでしょう)説、西側が供与する先端的な兵器によって、戦争の流れが変わるだろう説など。

ウクライナ側にとって都合の良い、一方、ロシア側にとって都合の悪い情報が、入れ代わり立ち代わり、流されています。そして、ウクライナ贔屓の多くの人たちは、それを信じます。しかし、それらの情報の内、どれが真実なのでしょうか。その後、それらに対する検証記事がないのは、どうしてなのでしょうか。

多くの人たちは、存在と当為を区別しませんし、当為である「あって欲しいこと」しか見ないから、真偽曖昧な情報に、直ぐ飛びつくのだろうと思います。

(注)https://www.tokyo-sports.co.jp/social/4296977/

【折々の名言】
以前引用したことがありますが、何度でも引用する価値があると思います。

「人は見たいものしか見ない・人は自分の望むものを信じたがる」(ユリウス・カエサル)

【追記】
昨日(8月20日)付朝日新聞に、エジプトの元外務次官フセイン・ハリディ氏に対するインタビュー記事が掲載されました。氏は、ウクライナ問題について、語っています。

「この戦争は悲劇で、まったく不要な戦いだ。ただ、私たちは欧米が言うようにウクライナの独立や民主主義を守るための戦いだとは見ていない。2003年のイラク戦争もそうだった。米国が自由や民主主義を掲げた始めた戦争は結局、イラクの破壊だった。
同じことが今、ウクライナで繰り返されている。ウクライナを助けると言って武器をどんどん送り込み、国土がどんどん破壊されていく。欧米はウクライナを犠牲にして、ロシアを倒したいのだろう」

欧米の実際の意図はともかく、傍(ロシアにもウクライナにも与しない国)からは、結果的に「ウクライナを犠牲にして、ロシアを倒したい」と考えているように見えるのは確かでしょう。

中村逸郎教授の「大胆予想」

ロシア政治を専門とする中村逸郎筑波大学名誉教授は、5月13日にテレビに出演し、そこで、「『ロシア軍はあと2、3カ月しかもたない』と大胆予想した」そうです(1)。

5月13日から三カ月経ちました。しかし、ウクライナ情勢は相変わらず、ロシア優勢で推移しています。中村氏の「大胆予想」は、大外れでした。

作家で、元外務省主任分析官の佐藤優氏は、書いています(2)。

「ウクライナ戦争に関する日本の報道は、『政治的、道義的に正しいウクライナが勝利しなければならない』という価値観に基づいてなされている。
このことが総合的分析の障害になっている」

佐藤氏が言うように、「『政治的、道義的に正しいウクライナが勝利しなければならない』という価値観に基づいてなされている」から、中村氏は判断を誤ったのだと思います。

(1)https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/05/13/kiji/20220513s00041000427000c.html
(2)https://www.tokyo-sports.co.jp/social/4296977/

出口戦略と結末 ウクライナ侵攻

1.戦争は強い側が勝つ

今回は、「出口戦略と結末 ウクライナ侵攻」という題名にしましたが、戦争の出口戦略を考えるには、戦争当事国双方の力の強弱を無視することはできません。なぜならば、戦争は強い側が勝ち、弱い側が負けますし、その力の差によって、双方がとりうる出口戦略の範囲が決まるからです。

今後、攻撃の限界点を迎え、ウクライナ側が巻き返すかもしれませんが、今のところ戦局は、ロシア≧ウクライナ(ロシアはウクライナよりも優勢もしくは同等である)で推移しています。

2.ロシアの出口戦略

ロシア・ウクライナ戦争は、ロシアが優位な情勢なので、まず、ロシアの出口戦略を考えましょう。
一体、同国の首脳陣は、この戦いの出口について、どう考えているのでしょうか。
元々ロシアの戦争の主目的は、ウクライナのNATOへの加盟の阻止=同国の中立化であり、副目的はドンバス地方の「解放」でした(1)。

ウクライナのNATO加盟は阻止しえましたし、ドンバスの「解放」もおおよそ実現できそうです。さらに、ドンバスからクリミア半島に至る回廊を確保すれば、戦争目的は達成したと言えるでしょう。
私がロシアの指導者なら、それが実現した時点で、一方的に停戦を表明します。

たとえ、その後奪われた土地を奪還しようとして、ウクライナ側が攻撃を仕掛けてきたとしても、防御のための敵基地攻撃はするものの、新たな占領地を増やそうとはしません。むしろ、ウクライナ側の攻撃による被害を、国際的にアピールします。
要するに、ウクライナの東部及び南部の併合を既成事実化します。

ウクライナの東部と南部を併合したことを、国際社会は許さないでしょうか。国際社会は、意外に健忘症です。
ロシアは、エネルギーと食料の輸出大国ですし、特にそれらに依存する諸国は、いつまでも同国の行動にこだわらないでしょう。
また、ウクライナのブチャなどで市民が虐殺された疑いがあるため、4月7日ロシアの国連人権理事会の理事としての資格を停止するよう求める決議案が国連総会に提出されました。採決の結果は、93か国が賛成、反対が24か国、58か国が棄権しました。
西側以外は、国際的に反露で結束している訳でもなさそうです。

日本は戦後、北方領土はロシアに、竹島は韓国に奪われました。もし現在の日本が、それらを軍事的に奪還するとしたら、どうでしょうか。それは、軍事的に可能でしょうか。あるいは、国内外の世論は、それを認めるでしょうか。
認めるわけがありません。

ウクライナの場合も、数年後か数十年後、NATOに加盟し、力を付けた同国が、ロシアに奪われた東部南部を、武力を用いて取り戻そうとした場合、国際社会はそれを認めるでしょうか。認めないでしょう。
たぶん、NATO諸国が真っ先に反対するでしょう。既成事実化は強し、です。

3.アメリカの出口戦略

ロシアの出口戦略の次は、本来ならウクライナのそれを問題にすべきですが、同国は自力でロシアと戦っていません。他者依存で戦争をしています。他国からの支援なくして、戦いを継続できません。なので、独自の出口戦略を描くことはできません。

また、ウクライナ侵攻に対して、ある日突然アメリカが対宇支援から手を引いたとしたなら、どうでしょうか。その他のNATO諸国や日本は、その後、対露経済制裁や対宇軍事支援を行いうるのでしょうか。アメリカが手を引けば、制裁も支援も雲散霧消するでしょう(わが国では、ロシアに対して勇ましいことを言っている人たちが多いですが、そんな主張ができるのは、日本が対米依存しているからだということさえ、彼らは自覚していません)。

欧州や日本のような、アメリカの金魚のフン諸国も出口戦略を描くことはできません。
出口戦略を描きうるのは、アメリカだけです。

問題は、当のアメリカです。
アメリカは、何のためにウクライナを支援しているのでしょうか。バイデン大統領は、「ウクライナが停戦交渉で有利な立場を確保するまで武器供与などの援助を続けると明言」(2)したそうですし、ゼレンスキー大統領は、「失地回復まで停戦はあり得ないと断言」(2)したそうです。

ですが、そのためには、戦争当事国の力が、ウクライナ(+NATO)>ロシアでなければなりませんし、その上で、ロシア軍を押し返さなければなりません。
それには、それを実現するだけの大量のウクライナ支援か、アメリカが実際に参戦するかが不可欠です。では、アメリカにその意思があるでしょうか。
周知のとおり、バイデン大統領は昨年12月に、米軍をウクライナに派遣することは検討していないと表明していますし、軍事支援の逐次投入をしていて、大量支援の意思もありそうにありません。

ということは、双方の力の差は、どうしてもロシア≧ウクライナ(+NATO)で固定したままになります。なので、現状のままでは、ウクライナによる占領地の奪還は不可能でしょう。

アメリカは、昨年アフガニスタンから撤退しましたが、今年になってたちまち、勝つ意思のない戦争に介入して、新たにウクライナという泥沼に足を踏み入れたのではないでしょうか。
自国軍を投入していない点で、深い泥沼ではありませんが、しかし、長期化は避けられそうにありませんし、浅いにしても泥沼は泥沼です。

4.無益な戦争

歴史的にウクライナはロシアの勢力圏でした。しかし、西側はそこに手を突っこみました。一方、ウクライナもNATO加盟を求めました。
ウクライナはロシアの勢力圏である、少なくとも、ロシアがそう見做しているということを、ウクライナもNATO諸国も見誤ったのだと思います。

共産主義体制が永遠ではなかったのと同様、権威主義体制も永遠ではありえません。プーチン氏だって、不死ではありません。
西側もウクライナも性急さを求めず、いまだ、ウクライナはロシアの勢力圏であることを認めるべきでした。敢えて言いますが、西側はウクライナを「見捨てる」べきでした。そうしていれば、ウクライナは多くの死者も難民も出さず、領土の保全もできていたでしょう。

5.その結末

戦争が始まった2月24日から5か月以上が経過して、現状を予想しえた人は殆んどいないでしょう。まして、この戦争がどのような形で終結するのかは、誰にも分りません。

ただ、おおよそ言えそうなことは、ウクライナ、ロシア、アメリカ他NATOの指導者の誰も予想しなかった結果で、戦争は終わりそうだということ、何れの首脳も楽しくない結果で終わりそうだということです。

(1)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/k10013513641000.html
(2)https://news.yahoo.co.jp/articles/b0152ae9213088b9867094d60b9d40613df75d7b?page=1