バイデン、ゼレンスキー両大統領の発言と現実との乖離

1.バイデン大統領の発言

バイデン米大統領は、今月13日のフィンランドでの記者会見で、「プーチン氏がウクライナでの戦争に勝つ可能性はない。すでに負けている」(1)と答えたという。また、「最終的にこの戦争を継続することが経済的にも政治的にも、あるいはそれ以外の面でも、ロシアの利益にならないとプーチン大統領が判断する状況が訪れると思う。だが、どのようにしてそれが訪れるのか、正確に予測はできない」(2)とも。

2.ゼレンスキー大統領の主張

一方、周知のように、ゼレンスキー宇大統領は、昨年2月24日より前の領土を奪還するまでは、ロシアとの停戦交渉には応じないと、言い続けています。

3.両氏の発言と現実との乖離

13日のフィンランドでの記者会見で、バイデン大統領は、次のように述べました。

「ウクライナの反転攻勢が大きく前進し、どこかで交渉による解決を生み出すだろう」(3)

けれども、これまで報道されているように、ウクライナは6月4日から?反攻を開始していますし、ゼレンスキー大統領は同10日にそれを認めましたが、遅々として進んでいません。
反攻後、何平方キロメートル奪還したとの報道がなされたりしますが、何週間で何平方キロメートルのペースなら、奪われた全領土を取り戻すには何十年かかるだろうと茶化すような主張もなされています。

要するに、バイデン大統領やゼレンスキー大統領の景気の良い発言とは裏腹に、実際は、ウクライナ側の奪回がうまく進んでいないというのが実態でしょう。

4.妙案はあるのか

バイデン氏は、「プーチン氏がウクライナの戦争に勝つ可能性はない。すでに負けている」と述べましたが、氏は、これまでのような、たとえToo littleな支援でも続けていれば、何れロシアを負かすことができると考えているのでしょうか、それとも、ロシアを負かすための妙案があり、それを今後ウクライナが、あるいは、西側が実行すれば、ロシアを負かすことができるということなのでしょうか。

バイデン氏にしろ、ゼレンスキー氏にしろ、わが国のヤフコメ民と同様、希望的観測に囚われているとしか思えないのですが。

(1) 「プーチン氏はウクライナでの戦争に『すでに負けた』 バイデン氏
(2) 「【ウクライナ】バイデン氏、ロシアが戦争を何年も続けられると考えず
(3) 「ウクライナ停戦交渉に言及 『プーチン氏、既に敗北』 米大統領」 

【追記】
ゼレンスキー大統領の発言と現実との乖離が、大きくなればなるほど、同政権倒壊の可能性が高くなるのは、昨年9月11日公開の記事「大統領発言と現実の乖離 ウクライナ侵攻」で述べた通りです。

【追記2】
ロシアは砲弾の数で、ウクライナと西側はプロパガンダの数で、戦争に勝利しようとしているようです。