バイデン米大統領は、7月9日に放送されたCNNとのインタビューで、「戦争が継続している現在、ウクライナをNATOの一員に迎えるかどうかについて、NATO内の意見が一致しているとは思わない」とし、ウクライナの加盟について、「NATO内に一致した見解はないとの見方を示した」(注)そうです。
NATOでは、ウクライナの加盟に賛成する諸国と反対する諸国に、意見が割れているのが分かります。
それとは別に、私が疑問に思うのは、NATO諸国に、この戦争の目的ないし出口戦略に関する「一致した見解」はあるのか、ということです。おそらく、NATO諸国内にも、米政権内にも、それはないだろうと思います。
何のためにウクライナに対して経済・軍事支援を行っているのかについての共通認識がない!ただ、ロシアに懲罰を加えるという一点だけで、彼らは共闘している。出口戦略もないまま、ズルズルと対ウクライナ支援を行っている、これが実態ではないでしょうか。
それがないにも拘らず、支援を続けているから、アメリカの目的はロシアを弱体化させることであるとか、自国の軍需産業やエネルギー企業を儲けさせるためだなどという陰謀論めいた言説が、流布するのだと思います。
アメリカを含めたNATO諸国の政治指導者たちの無定見のために、私たちは、第三次世界大戦への恐怖に怯えることになっています。