戦争・正戦論・戦後賠償

1.戦争における道徳的善悪と力の強弱

1.1 古来戦争は、強い側が勝った。

1.2 双方の力が互角な場合は、引き分けで固定(朝鮮戦争型)。

1.3 戦争は、正しい側・善の側が勝つわけではない。

1.4 戦争で、正しい側が勝つ場合もあれば、負ける場合もある。

1.5 戦争で正しい側が勝ったように見えるのは、勝った側が、自分たちの側が正しかったのだと、歴史を書き換え、負けた側にそれを押し付けるから。

1.6 正しい側が絶対に勝たなければならない、は駄々っ子の論である。

1.7 戦争を考えるに際して、少数の人たちは力の強弱を考慮するけれども、多数の人たちは善悪しか見ない。

2.正戦論

2.1 戦争は、お互いの権益の争いだと考えるのが、理性的な戦争論者であり、善と悪の戦いだと考えるのが、野蛮な正戦論者である。

2.2 正戦論者は、自分の(支持する)側=善、相手の側=悪を自明のこととしている。だから、彼らは相手に対して、残虐になれるし、妥協・譲歩はしないし、それらによる和平は望まないから、戦争は長期化する。

2.3 正戦論者にとって、重要なのは、何よりも善悪である。

2.4 力の強弱を顧みないから、正戦論者は往々にして、判断を誤る。

2.5 戦争における善の側と悪の側の評価は、時に変動する。
戦前から戦後へ。日本では、善の側と悪の側の認識が逆転した。それは、悲劇でもあり、喜劇でもあった。今後の、ウクライナとロシアの評価は如何に?

3.戦後賠償と戦争犯罪人の処罰

3.1 戦後の賠償にしろ、戦争犯罪人の処罰にしろ、勝敗の決着がつかない場合は、相手国に対してそれらを要求できない(朝鮮戦争)。

3.2 ウクライナの目的は占領地の奪回である。それは相手国の軍隊を、自国領土から追い払うだけで、首都を陥落させる訳でも、相手を降伏させる訳でもない。いわば真の意味での戦争の決着ではない。だから、ロシアに対する戦後賠償や戦争犯罪人の処罰は無理である。
ベトナム戦争で「勝利」した北ベトナムが、アメリカに対して、それらを要求しえなかったように。

4.初の試み

ウクライナ戦争は、第三国(?)からの軍事支援のみ(?)によって、弱国が強国との戦争で、勝利しようとする、史上初の試みである。

5.戦争の原因

ロシアの勢力圏(ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)に、NATO(アメリカ)が手を突っ込んだのがウクライナ戦争の原因である?