ノルドストリームを破壊したのはほぼロシアではない

昨年9月26日、ロシアからドイツ(欧州)に天然ガスを供給するノルドストリーム1、2の計4本のパイプラインの内、3本が何者かによって破壊されました。

ベトナム戦争でのソンミ村虐殺事件やウォーターゲート事件にCIAが関与していたこと、イラク戦争時アブグレイブ刑務所で米軍による捕虜虐待が行われていたことを暴露したアメリカのジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が2月8日自らのブログで、ノルドストリームを破壊したのはアメリカだとの記事を公開したという報道がなされました。

ハーシュ氏によれば、昨年6月、バルト海でのNATOの合同訓練にまぎれて、米海軍のダイバーが爆弾を設置し、3か月後、ノルウェーのP8哨戒機が水中音波探知機のブイを工作地点に投下して、作動させたのだという。

その報道に対して、2月8日?ロシア外務省のザハロワ報道官は、「『米政権は全ての事実に対しコメントをする必要がある』と述べ」(1)たそうですし、翌9日、ペスコフ露大統領報道官は、「真相を解明した上で責任者を罰するべきだと述べ」(2)ました。

一方、中共外交部の毛寧報道官は、2月10日、「『米国は世界に責任ある説明をする必要がある』と指摘した」(3)。

私が注目したのは、中共の態度です。
ノルドストリームを破壊したのが、ロシアだとしましょう。考えられるのは、次の二通りです。
A、中共はロシアが黒なのを承知の上で、同調した。
B、中共はロシアが黒なのを知らずに、同調した。

ノルドストリームの破壊については、ハーシュ氏の記事以前から、露支の政府の担当者の間で、情報交換が行われているでしょう。
もしBなら、ロシアは中共を騙したことになります。そして、実行したのがバレた場合、ロシアは中共の信頼を失うことになるでしょう。ウクライナ侵攻で、西側諸国から総スカンを食らっている中で、ロシアが中共に嘘をつくようなことがあるでしょうか。それは、ありえないと思います。

ノルドストリームの件に関しては、ロシア側がやっていないと言っても、中共はそれを鵜吞みにはしないでしょうし、後者の耳にも何らかの情報が入っているでしょう。

一方、Aなら、ロシアの犯行がバレた場合には、中共も国際社会で大恥をかき、また、非難されることになります。私は反中共派ですが、いくら何でも、現在のような状況下で、ロシアが黒なのを承知で、支那は同調しないでしょう。

とするなら、ロシアは白で、中共もそれが分かっていると考えるのが自然です。
ハーシュ氏の記事の内容が真実なのかどうかは分かりませんが、上記の理由から、ノルドストリームを破壊したのは、ほぼロシアではないと推定します。

(1) https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-nordstream-russia-idJPKBN2UI1T3
(2) https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-nordstream-russia-usa-idJPKBN2UJ1N1
(3) https://jp.news.cn/20230211/e07c3b8b49a74d8dbf3e5002ffcabc58/c.html

【参考記事です】
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-putin-germany-idJPKBN2VG1RK