軍事支援の増大は戦争の早期終結につながるか

ウクライナのクレバ外相は、1月31日に、「ウクライナが強くなれば、この戦争は早く終結する」(1)と述べました。
また、2月に訪欧したゼレンスキー大統領は、8日、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相との会談で、「『長距離重火器や戦闘機を手に入れれば、ロシアの侵攻はすぐに終わる』と強調し、供与を求め」(2)ました。

1月25日、ドイツはレオパルト2戦車をウクライナに供与すると発表しましたが、同国内の議論について、国際政治学者の鶴岡路人氏は、「『戦争を早く終わらせるために戦車供与が必要だ』という議論が、『エスカレーションが心配だ』という議論を上回ってきた。それがここ数週間の注目点だったと思います」(3)と報告しています。

私が疑問に思うのは、なぜウクライナに兵器を供与することが、戦争の早期終結につながるのかということです。兵器を供与すればするほど、戦争が長期化するのではないでしょうか。

どうも、欧米でも日本でも、二つの考え方に分かれているようです。
第一の立場。ウクライナへの軍事支援を増やせば、戦争を早く終わらせることができる。
第二の立場。ウクライナへの軍事支援を増やせば、戦争を長引かせることになる。
どうして、人々の意見は、第一の立場と、第二の立場に割れているのでしょうか。

今年の1月11日に、「双方の力が均衡しているほど長期戦になる」という投稿を公開しましたが、いけまこ理論(?)によれば、戦争当事国または諸国双方の力が均衡しているほど長期戦になると考えられます。ということは、双方の力が不均衡なほど短期戦になるということです。

この戦争でウクライナが短期で勝利するには、ロシアとの力の差が、ウクライナ>ロシアでなければなりません(A>B:AはBよりも強い)。
周知のように、ウクライナ単独の力では、それは無理ですから、NATOの軍事支援によって、ウクライナ(+NATO)>ロシアにならなければなりません(NATOは間接参戦なので、括弧付き)。

一方、現状でのウクライナとロシアの力の差はどうなのでしょうか。東部や南部の戦場での一進一退を見れば、ウクライナ≒ロシアと解釈できないことはありませんが、ウクライナは総力戦(総動員令)を闘っているのに対し、ロシアは局地戦(部分動員令)を闘っていて、後者の方が、まだまだ余力があると考えられます。
とするなら、実際のウクライナとロシアの力の差は、ロシア≧もしくは>ウクライナだと考えて良いでしょう。それが分かっているから、ウクライナは西側へ、戦車を、次は戦闘機をと要求しているのでしょう。

はたして西側が、戦車や戦闘機、あるいは他の兵器を供与することで、両者の力の差が、ウクライナ>ロシア(短期終結)、ウクライナ≧ロシア(長期終結)に転化しうるのでしょうか。

最大、ウクライナが要求するすべての兵器を西側が供与したとして、同国は四州の占領地とクリミアを取り戻すことができるのでしょうか。勿論、その場合、ロシアによる核兵器使用も想定しなければなりません。
そのように考えると、ウクライナの力は、どうしてもロシア以上にはならないのではないでしょうか(ロシア≧ウクライナ)。

双方の力の差が、ウクライナ≧もしくは>ロシアになるには、NATOがウクライナの側で、直接参戦するしかありません。しかし、NATOは直接参戦しない。とすれば・・・・。

第一の立場にたつのは、NATOが参戦しなくても、軍事支援を行えば、ウクライナは勝てると信じる人たち。
第二の立場にたつのは、軍事支援をしたとしても、ウクライナは勝てないと考える人たち。
上記のような認識の相違によって、人々の意見は、二つの立場に割れているのだと思います。

蛇足ながら、その他戦争が早期に終結する可能性があるとすれば、プーチン政権またはゼレンスキー政権が瓦解する場合です。もっとも、その場合も、必ずしも戦争が終わるとは限りませんが。

(1) https://www.zakzak.co.jp/article/20230201-RF5SXHJASJLPTL42WK2I7ZIS6Y/
(2) https://news.1242.com/article/414889
(3) https://news.1242.com/article/414889