停戦は遠のいた ウクライナ侵攻

1.私の大胆予想

ロシア軍が完全撤退しない限り、停戦に応じないとか、クリミアを取り戻すとか、大きな目標を掲げる割には、奪われた土地をウクライナは取り戻せなかったので、何れ国民や支援国にあいそをつかされて、ゼレンスキー政権は倒れるのではないかと、9月11日公開の記事「大統領発言と現実の乖離 ウクライナ侵攻」で、中村逸郎教授ではありませんが、大胆予想をしました。

しかし、8月29日以降の、ハルキウ州におけるウクライナ軍の反攻作戦により、私の予想は外れました。もっとも、ウクライナ側の反転攻勢が、この先、いつ、どこまで可能なのかは分かりません。イジューム奪還が陽動作戦によって成ったのだとして、再びその手が使えるかどうか。今後、一進一退ならともかく、戦況の膠着や退却が続けば、やはり政権に赤信号が灯るでしょう。

2.勝利体験

ウクライナ軍による反攻作戦の成功は、国民や支援国、そして、米欧日その他の諸国の支持者たちを勇気づけたことでしょう。
反面、この度の、勝利という成功体験によって、以後も占領地を取り戻せるとの期待感から、また、攻勢に転じうるかもしれない側が、進んで和平を求める訳がありませんから、当分の間、停戦の目はなくなったと見てよいでしょう。
継戦すればするほど、人命が失われるし、ウクライナの領土も奪われるので、早く和平をした方が良いと私は考えましたが、こうなると停戦は無理でしょう。

ウクライナもロシアも、まだまだ「やる気」がある状態ですし、お互いに納得するまで殴り合わないと、停戦の機運は生まれないでしょう。
ゼレンスキー大統領またはプーチン大統領が、暗殺されるなり失脚するなりといった、不測の事態が起こらない限り、戦いは続きそうです。

この先待ち受けているのは、戦没者の更なる増大であり、場合によっては、戦争のエスカレーションでしょう。