朝日新聞の値上げの弁を読んで

1.値上げの弁

6月10日付朝日新聞第一面に、値上げの通告「読者のみなさまへ 購読料改定のお願い」が掲載されました。
記録しておいた方が良いと思うので、全文を引用します。内容は下記の通りです。

「朝日新聞社は7月1日から、本紙の朝夕刊月ぎめ購読料を、現在の4037円(消費税込み)から4400円(同)に改定いたします。ご負担をお願いするのは誠に心苦しい限りですが、一層みなさまのお役に立てるよう、紙面づくりに全力を尽くします。引き続きのご愛読をお願い申し上げます。

消費税を除く本体価格の改定は1993年12月以来、27年7カ月ぶりです。

当社は、記者が一つひとつ事実を確認しながら、くらしや仕事に役立ち、日々を豊かにする情報をお伝えしようと努めています。隠れた事実を掘り起こす調査報道に力を入れるとともに、週末別刷り「be」や「GLOBE」を発行するなど紙面の拡充にも取り組んでまいりました。質の高い新聞づくりのためにシステムの投資も続けています。

購読料を据え置きつつ、良質な紙面を変わらずお届けできるよう、新聞製作の合理化、人件費や経費の節減を進めてきました。しかし、インターネットの普及で新聞事業を取り巻く環境が厳しさを増し、販売・広告収入が減る一方、製作コストは高くなっています。深刻な人手不足などで戸別配達を維持することも難しくなってきました。

新聞業界全体が同じような状況で、全国の多くの新聞社が購読料をすでに見直しています。当社も長年の経営努力が限界に達し、ご負担をお願いせざるを得ないと判断しました。

ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています。事実を正確に報じるという報道機関の使命を肝に銘じ、新聞を広げるのを楽しみにお待ちいただけるよう、内容とサービスを一層充実させてまいります。ご理解をお願いいたします。

なお、朝刊の1部売りは160円(現行150円)、夕刊の1部売りは60円(現行50円)といたします。                     朝日新聞社

因みに、同紙は1993年12月には約820万部だったのが、昨年8月には500万部を割ったそうです。

2.論評

いくつか、論評します。

・「ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています」

新聞上にフェイクニュースが飛び交う今、ネットの役割は増していると考えています、と言い換えても、そのまま通用するのが悲しい。 

・「記者が一つひとつ事実を確認しながら・・・・事実を正確に報じるという報道機関の使命を肝に銘じ・・・・」

ネットで、「吉田清治 朝日新聞」「吉田調書 朝日新聞」をキーワード検索すれば分かりますが、「記者が一つひとつ事実を確認しな」かったから、誤報が生まれたんですね。そして、そんな報道を行ってきたから、なおさら「インターネットの普及で新聞事業を取り巻く環境が厳しさを増し」たのではないでしょうか。

「お願い」では語られていませんが、新聞には報道機関としての役割とは別に、言論機関としての役割があります。朝日新聞の場合は、たとえば戦後の平和主義、冷戦時代の社会主義信仰、同時代からの歴史認識問題、そして昨今のリベラル思想の風靡まで、いつも言論機関としてのイデオロギーが、報道機関としての事実を妨害してきたのだと思います。言っても無駄なのは分かっていますが、報道を歪めるイデオロギーを払拭すべきです。

「事実を正確に報じるという報道機関の使命」を、本気で「肝に銘じ」ないなら、同紙の転落は留まることがないでしょう。