オーストリアの哲学者ルートヴィッヒ・ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)は、「論理哲学論考」の最後に書いています。
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」(1)
昨年末支那の湖北省武漢市で発生した新型コロナウィルスについて、第四の権力(マスメディア)や第五の権力(SNS)では、洪水のように様々語られています。
しかし、その中のどの情報が真であり、どれが偽なのか明確ではありません。人々はどれを信じてよいのか戸惑っています。
マスメディアにしろ、SNSにしろ、その分野の専門家や、知識あるいは見識ある人の言説を発信すれば良いのですが、問題なのは不確かな情報をタレ流しにしていることです。そのため、聞くべき人たちの発言が、かき消されています。
新型コロナウィルスのような特殊な分野の問題は、素人は安易に発言すべきではないでしょう。彼らは、専門家(中にはいい加減な人もいるようですが)の発言の邪魔をしているだけです。
そのような発言は、社会で不安を煽ることになるし、だから、商店の棚からトイレットペーパーやティッシュペーパーなどが姿を消すことになるのです。
知識や見識のない人が発言を止めれば、本当に聞くべき人の声が聞かれるようになるでしょう。
ウィトゲンシュタインの言葉ではありませんが、
「語りえぬ者は、沈黙しなければならない」
です。
そう言うと、知識も見識もないお前など、真っ先にブログを止めるべきだ、と言われそうですが(苦笑)。
【折々の見識】
当ブログにリンクをつけているよもぎねこさんは、「なぜ今中国からの渡航を拒否するのか? 習近平ウィルス」のコメント欄に書いています。
「習近平ウィルスの問題は、国際社会では完全な情報戦と政治利用の問題になっています。
でも当のウィルスは政治も情報戦も全く関係なく、科学の法則に従って拡散するのです。
だからそれを無視して情報戦や政治利用に走ると、結局痛い目に遭うのです」
【折々の名言】
「世界がいかにあるかが神秘なのではない。世界があるという、その事実が神秘なのだ」(太字、原文は〇傍点)(2)
(注)
(1)L・ウィトゲンシュタイン、藤本隆志・坂井秀寿訳、『論理哲学論考』、法政大学出版局、200頁
(2)同上、198頁