1.野党三種
与党は、複数政党制の民主主義国において、政権を担当している(政権に与っている、あるいは政府の側に与している)政党のことです。一方、野党とは政権を担当していない(野にある)政党のことです。
さて、野党は三種類に分けることができるでしょう。一流の野党と二流の野党と三流の野党です。
第一。一流の野党とは、時々与党に取って代わって政権を担うことができる責任政党のことです。イギリスではそのような野党が野にある時にも、政権を担った場合を想定して「影の内閣」が設けられているそうです。
与党とは別の理念によって結成された野党は、自らの理念に基づいた政策を立案し、有権者にそれを提示及び説得し、選挙に勝つことによって、政権を獲得、自らの政策を実施して行きます。
第二。二流の野党とは、与党とは別の政策を提示するものの、それが非現実的だったり、不人気だったりして、なかなか政権に就くことができず、万年野党化した政党です。
但し、政権は担えないものの、比較的図体が大きいために、与党がへまをすれば取って代わるかもしれないとか、図体は小さくても独自の理念を有するため、一定の固定支持層があり、政府に対して厳しい追及ができるとかで、与党に緊張感をあたえることができる野党のことです。
第三。三流の野党とは、政権を担う意思も能力も可能性もない、創立から数年で消滅してしまうような泡沫野党のことです。
2.現在の野党
現在のわが国の野党は、以上の何れに相当するでしょうか。
時事通信社の11月の政党支持率によると、与党の自民党30.1%、公明党3.7%に対し、野党は立憲民主党3.1%、共産党2.0%、日本維新の会1.3%、社民党とれいわ新選組が各々0.6%、国民民主党とNHKから国民を守る会が各々0.2%、そして、支持政党なしが55.5%です。
どの野党も、万年野党と半ば嘲られた旧日本社会党には及びませんし、自民党のコバンザメ公明党よりも支持率が低い。
いつの時代でも、大小に拘らず政治が解決すべき問題は山積しています。国民はそれらが解決されることを切望しています。
ところが、現在の野党がやっているのは、政府の政策批判でも、自らの政策提示でもありません。総理大臣や国務大臣の失言や不祥事を攻撃することばかりです。いわゆるモリ・カケから桜を見る会の問題まで。
確かに野党ですから、総理大臣他の失言や不祥事を問題にすることがあって当然です。けれども、国会においては政策に関する議論が主で、不祥事等は従であるべきです。
ところが、現在の野党の政治家たちには、主従が逆転しているという自覚さえないように見えます。それなのに、自分たちは政府・与党と英雄的に戦っていると自己陶酔しているのではないでしょうか。
主従逆転では困ります。野党に投票した有権者たちは、刺身定食を注文したのに、刺身のないツマだけの定食が出されたように感じていることでしょう。
もう国民は、うんざりしています。だから、野党の支持率が低いのです。
現在の野党は、二流半と三流ばかりです。
3.一流の野党を作るには
1990年代のいわゆる政治改革によって、政治家たちは政権交代可能な、自民党とは別のもう一つの有力な政党を作ろうと考えました。が、それはいまだに実現していません。
理念の同じ政党による二大政党制などありえません。それが可能だと考えて失敗したのが、希望の党です。
もし政権交代可能な、自民党とは別の政党を作ろうと思うのなら、自民党よりももっと右寄りな政党か、それとも左寄りの政党を作るしかありません。そして、現在のわが国の国民意識から考えるなら、後者の政党を作るのが現実的です。
2017年に希望の党と民進党が、一部の政治家を排除して丸ごと合流しようとしましたが、その騒動が明らかにしたのは、野党の政治家たちは、国会議員になるのが人生の目的で、理念や政策は後からついてくると考えているということです。
野党の政治家たちは選択すべきです。
国民のためを思うのなら、社会・共産主義やいわゆる戦後平和主義という古着を脱ぎ捨て、私情を抑え、大同団結して、自民党よりも少し左寄りの、愛国的な<陛下の反対党>を結成すべきです。
自分自身の栄達のためにしか関心がないのなら、今直ぐにでも辞職した方が良い。その方がお国のためです。