朝日新聞は本紙とは別に、毎週土曜日には12頁余りの「be」という二部紙が挟まれています。その頭に「フロント・ランナー」というコーナーがあって、毎回時代の先端を走っているとされる人が紹介されています。
10月19日に登場したのは、「アーチスト」の小田和正氏でした。小田氏は、言うまでもなく、音楽バンド「オフコース」(1989年に解散したそうです)のメンバーです。
そこで、記者の「『良い曲』とは?」という質問に、小田氏は答えています。
「『シンプルで飽きない』っていう一言かもしれない。永遠の答えのない問いではないでしょうか」
私が音楽を聴くのは、休日にオンボロ車でドライブに出かける時か、夜ビールを飲み終わる頃です。
ついこの間までは、中学高校の同級生シュウちゃんがくれたオフコースの二枚組CD”All Time Best”ばかりを聴いていました。DISC1の中では「秋の気配」が、DISC2では「君住む街へ」が一番好きです。
オフコースの曲は、不思議に飽きません。なので、ずいぶん長持ちしました。
逆に、名曲だけれども直ぐに飽きてしまうという曲もあります。
ファンに叱られそうですが、いくつか挙げるなら、モーツァルトの交響曲第四十番ト短調の第一楽章やアイネ・クライネ・ナハトムジーク、ポール・マッカトニーの「イエスタデイ」、サザンオールスターズの「いとしのエリー」とかです。
ベートーベンのピアノ協奏曲第五番変ホ長調「皇帝」の第一楽章は誰もが一度は聴いたことがあるでしょうが、やはり退屈名曲で、むしろ第二楽章の方がいい。
飽きやすい曲と飽きにくい曲の違いはどこにあるのでしょうか。
作家の曽野綾子さんはどこかで書いていました。モーツァルトは退屈だという意味のことを。それは正直な言です。私もそう思います。
とは言っても、やはりモーツァルトは偉大な作曲家で、私は彼のピアノ協奏曲第二十一番ハ長調の第二楽章が、彼の曲では一番好きです。
「シンプルで飽きない」というのが、名作の最も重要な条件の一つであるのは、音楽のみならず、文章の分野に関してもあてはまることだろうと思います。
【追記】
オフコースの後、今は『X JAPAN BEST ~FAN’S SELECTION~』を聴いています。「ENDLESS RAIN」と「Forever Love」が飽きにくい曲ですね。