中道と呼ばれる、あるいはそれを自称する政党なり政治勢力があります。
わが国では、冷戦時代に公明党や民社党が中道政党と呼ばれていましたし(前者は現在でもそれを標榜していますが)、今でも欧州では中道左派とか中道右派に区分される政治勢力があります。
一体中道とは何なのでしょうか。
ネットで「中道政党」を検索すれば、「政策路線を一次元の分布で位置づける場合に,右派または左派にかたよらず,穏健で中間的な政党」(1)とありますし、「中道政治」では、「左右あるいは保守・革新のどちらにも偏らないことを旨とする政治」(2)と説明されています。
その方向性が正しいか間違っているかはともかく、左派も右派もそれなりに自派の信じる方向を目指しています。しかし、中道政党は独自の理念なり、政策なりを持っているのでしょうか。
かつての民社党は、一応民主社会主義という政治理念を持っていましたが、公明党は実質的には創価学会という宗教団体の政治部門です。同党は今は自民党と組んで与党を形成していますが、自民党とは別の、独自のビジョンを持っているのでしょうか。
悪夢のような政治を行った旧民主党とは違って、まともなリベラル政党が誕生して、あるいは、ある時政界にゴタゴタが生じたら、公明党は自民党を捨てて、その政党と組む可能性もなきにしもあらずでしょう。
もし中道が、左派右派とは別の、第三の道へ向けて邁進しているのなら、社会全体が左に傾こうが、右に傾こうが、その立場はブレないはずです。ところが、中道政党、中間派という勢力は、全体が左へ振れれば左へ、右に振れれば右へ、左派または右派と共振しているだけなのではないでしょうか。
すなわち、彼らは常に左右の真ん中派です。
左派と右派の対立があり、何らかの理由で右派が消滅した場合、中間派の人たちは自ら右派になり左派と対峙するでしょうか。たぶん、いつの間にか急進左派と穏健左派の中間におさまっているのではないでしょうか。
左右両派の位置を確認してから、そこからの距離で自らのポジションを決める、そのような人たちが中道なのではないでしょうか。
中道政党や中間派は、風見鶏とか日和見主義とかそのような評に相応しい勢力だといえば、言い過ぎでしょうか。
(1)https://kotobank.jp/word/%E4%B8%AD%E9%81%93%E6%94%BF%E5%85%9A-1367231
(2)https://www.weblio.jp/content/%E4%B8%AD%E9%81%93%E6%94%BF%E6%B2%BB