同盟国は何を基準に選定すべきか

1.平間洋一氏の問い

平間洋一氏は『日英同盟 同盟の選択と国家の盛衰』(角川ソフィア文庫)の第13章4を次の文章から書き出しています。

「同盟国は何を基準に選定すべきであろうか。如何なる国との同盟が国家に繁栄をもたらすであろうか」

それについて、「同盟国選定の基本は」「国益でありパワーポリディクスである」。そして、「同盟選択の第二の要件は」「世界の世論(情報)を支配する国家との同盟が望ましい」と述べています。

また、次のような歴史的観察も記しています。
「日本の安全保障を地政学と歴史から見ると、黒船の到来で始まった近代日本は、海洋国家と連携したときには繁栄の道を歩み、大陸国家と結んだときには苦難の道を歩まなければならなかった」

浅学ながら、私も考えてみました。

2.利・理・力・信

同盟国は何を基準に選定すべきでしょうか。
利と理と力と信の積によって決定すべきだと考えます。

利とは、国益(国家の権益)のことです。

理とは、理念や理想です。
自由や民主主義、法の支配や人権などのことです。

力とは、経済力や文化力もありますが、何よりも軍事力です。
国家は何にもまして生存を優先しなければなりません。

信とは、信用、信頼です。

<利について>
私たちは個人生活において、最低限自身や家族を養うために、できれば更により豊かな生活を求めて日々行動しています。同様に国家も、できうる限りの繁栄を目指します。すなわち、常に国益を追求します。
国益を損なう、あるいはそれが失われるような軍事同盟は避けなければなりません。

<理について>
たとえ経済交流が盛んで国益に適い、軍事的に強大であろうと、自由や民主主義、法の支配や人権といった価値が保証されていない国との同盟は、粗暴な事象を生み出します。そのような国が圧迫しているのが、自由や民主主義が保証されている国ならなおさらです。
理の欠如した国との同盟は野蛮です。

<力について>
たとえ欧州やアフリカや南米の小国と同盟を結んでも、近隣某国からの脅威に対して非力ですし、地理的に遠過ぎるので、役に立ちません。
力のない国との同盟は無力です。

<信について>
国際条約やルールを守らない国(これは、最近の韓国のことを言っているのだなと思う人がいたら、当っています)との同盟は紙屑同然です。
信のない国との同盟は実効性が期待できません。

3.四つの要件のバランス

利、理、力、信の積により同盟国を決定すべきですが、大きな数字に0を掛けても積は0にしかならないように、同盟国として必要な要件の何れかが根本的に欠けている国との同盟は、軽率にして無謀です。
各要件のバランスがとれた国との同盟が望ましいでしょう。

【追記】
安倍首相は8月6日の、広島市での記者会見で、「現在の日韓関係の最大の問題は、国家間の約束を守るかどうか、という信頼の問題だ。日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基盤となった国際条約を破っている」と述べたそうです(8月7日付朝日新聞)(8月12日)