なぜ米民主党候補者は多いのか

1.史上最多の候補者

2020年のアメリカ大統領選挙における、民主党候補者指名のためのテレビ討論会が6月26,27日に行われたという。同党の候補者は史上最多の24人です。討論会に参加をしたのは、その内の20名です。

どうして民主党候補の数は多いのでしょうか。

2.救済の対象の多様性

米民主党はリベラル派の政党です。
「左翼は誰のために戦っているか」で書きましたが、リベラルが救済の対象にしているのは、労働者・勤労者層ではなく、社会的少数派・弱者です。彼らの権利拡大のためにリベラルは戦っています。
そして、社会的少数派・弱者は多様です。女性、少数民族、移民、黒人、LGBT・・・・。各々の少数派の利益代弁のために候補者が立てば、その数が増えるのは当然です。

実際に候補者の顔ぶれを見れば、本来の民主党の支持層である労働者やミドルクラスの利益代弁を掲げている人もいますが、その他女性が6名、ヒスパニック系、アフリカ系、移民二世三世、気候変動系、ゲイの候補者もいます。

3.意見の対立はないか

そのような各少数派が手を携えて、同じ方向へ進んで行けるのなら、大統領本選挙で共和党候補と互角に戦えるかもしれません。しかし、少数派同士うまく協調できるのでしょうか。

少数派間の、意見の対立はないのでしょうか。
ある少数派は、他の少数派の権利を、自分たち少数派の権利と同等に尊重しうるのでしょうか。
ある少数派が重視されたり、ある少数派が軽視されたり、少数派間の優先順位が生じたりしないでしょうか。
ある少数派の中に、別の少数派に対し嫌悪感を抱く者はいないでしょうか(当然いるでしょう)。

そのようなことを考えると、「全国のマイノリティ団結せよ!」は、かなり難しいだろうと思います。

4.民主党受難の時代

共和党は一応一方の多数派=右派層の支持を受けているのに対して、民主党は各少数派の集団の、バラバラな意見しか代弁していない点で、大統領選挙で勝利するには不利だろうと思います。

リベラル・イデオロギーという強(凶?)風が吹いている間は、思想的にはリベラルの攻勢が続きますが、選挙のように意見・票の集約が必要な場合は、守勢に立たされざるを得ないでしょう。

共和党候補になかなか勝てない、勝っても二期は務められない、今後そのような民主党受難の(自業自得ではありますが)時代が続くのではないでしょうか。