なぜメディアは左派が体制派なのか

日本に限らず欧米もそうでしょうが、国民全体では右派が多数派なのに、なぜメディアの世界は左派が多数派なのでしょうか。
以下は、それに対する私の仮説です。

1.インテリ=左派、大衆=右派

どこの国でも大衆は多数派で、インテリは少数派です。そして、一般的に大衆は右派が多い。
ところが、インテリだけに限るなら逆転して、左派が多数派で、右派は少数派です。だから、インテリの牙城大学は、俗世間とは違って左翼優勢なのでしょう。

2.体制と反体制

日本のメディアを見てみましょう。
普通全国紙では朝日新聞と毎日新聞が左派で、読売新聞と産経新聞が右派だとされます。しかし、読売新聞はどうも右派として中途半端ですし、地方紙はたいていが前者の亜流です。だから、新聞は左派が多数派にして体制派です。
本を読まない大衆は新聞も余り読みませんから、新聞がインテリ向けなのは自然です。

テレビは、大衆はもっぱら娯楽番組を見ます。一方、インテリは教養番組も見ます。
ニュース番組のコメンテーターは左派が多数を占めていますし、歴史教養番組は左翼偏向を指摘されることはあっても、右翼偏向を指摘されることはありません。
娯楽番組以外は、インテリの視聴者が多いから、彼らの嗜好に合ったものになるのでしょう。

雑誌はどうでしょうか。
朝日新聞の『朝日ジャーナル』も『論座』もとっくに廃刊になっていますし、『週刊金曜日』を初め左派雑誌は低調です。
他方、右派雑誌、たとえば『WiLL』、『Hanada』、『正論』は元気があるように見えます。しかし、それは新聞やテレビというメディアの主流派=体制派があっての、それら作用に対する反作用に過ぎません。
新聞とテレビがメディアの体制派で、右派雑誌は反体制派です。だから屋上屋を架すような左派雑誌が需要が少ないのは当然です。

要するに、インテリ層がメディアを支えているから、大学同様メディアの世界も左派が体制派なのだと思います。

3.通説

では、なぜインテリは左派になるのでしょうか。
彼らは秀才であって、真面目に教科書を読んだ人たちです。すなわち、彼らは教科書に記述されていること=通説を信じる人たちです。政治社会問題でもそうです。政治的通説を信じる人たちが左派になります。

通説といっても、現実政治で実施されていることを意味しません。実施されてはいないけれども、その時代に世評で正しいとされている主張のことです。
資本主義から社会主義への社会の発展、非武装中立、平和憲法、東京裁判史観、核兵器の廃絶、差別なき社会・・・・
インテリはそれらの通説を信じます。だから、インテリは左派に傾くのです。
左派の中の上層インテリが進歩的思想の旗を振り、下層インテリがそれに盲目的に従う。
メディアで左派の意見が氾濫する理由です。
一方、通説を信じない少数の人が、右派インテリになるのだと思います。

4.通説は真理とは限らない

もっとも通説は所詮通説に過ぎなくて、ある日それが真理でないことが判明したりします。
「資本主義から社会主義への社会の発展」を信じたのは、大衆よりもインテリの方が多かった。「インテリの世間」に流されやすいから、後者の方がかえって判断を誤ったりします。
左派メディアや左派評論家の言うことは、話半分に聞いていた方が賢明です。