元外交官の「見識」ある発言

朝日新聞の社会面に「『沖縄』を考える 土砂投入」と題する企画が連載されています。その2月4日付で「元中国大使 宮本雄二さん」は語っています。

「冷戦時代、『脅威』をめぐる国会論戦がありました。政府の定義は『脅威とは意図と能力だ』と。ソ連の攻撃力は今の中国と比べてずっと強大でしたが、それを日本に対して使う意図はない。だから脅威ではない。同じ理屈からすれば中国も脅威ではありません。」

確かにソ連は北方領土を占拠していました(います)が、わが国のその他の地域に対して領土的野心を示していた訳ではありません。
私たちが恐れていたのは、同国による侵攻よりも、「ソ連の攻撃力」による米ソの全面(核)戦争でした。

一方、中共は、尖閣諸島近辺における行動を見れば、「能力」のみならず「意図」もあるのは明白です。
能力はあったけれども意図はなかったソ連と、能力も意図もある中共を同列に論じることはできません。

「同じ理屈からすれば中国も脅威ではありません」というのは、屁理屈でしょう。
宮本元大使の発言は、駐日支那大使のそれとしても違和感がありません。

戦後日本の対支対韓外交が失敗続きなのは、「宮本雄二さん」のような外交官の存在と無関係ではないでしょう。