老後の仕事はブログです

私は早生まれですが、遅生まれの同級生は来年還暦です。区切りの年ですし、同窓会の話も出ています。
現役時代大いに仕事をした人も、適当にしか仕事をしなかった人も、差別なく定年です。そして、来年退職するであろう人も、今までにいた会社で嘱託としてもう何年か働き続けるであろう人も、引退後のことを考えざるをえません。

私も一昨年は膝の半月板損傷、今年は眼底出血に見舞われ、体調と体力に自信がなくなりました。この先何年働けるだろうと思わずにはいられません。と同時に、引退後は何をすべきか考える必要があります。

女性なら、カルチャーセンターや美術館や植物園、美味しいものを食べに行ったり、旅行をしたり、韓流ドラマにハマったりなどに喜びを見い出せるかもしれません。しかし、男性はどうもそんなことでは満足できないように思います。
趣味でも労働でも良いですが、仕事として打ち込める何かが必要ではないでしょうか。

今年それを見つけました。ブログです(ちょっと赤面)。
これなら、若い時のような体力も必要ありませんし、と言うよりも、自分の体調に応じただけすれば良いですし、他人と共同でやらなければならない訳ではありませんから、他者に迷惑をかけることもありません。ボケ防止にもなりそうです。
で、引退前ですが、三月から始めました。

ブログを開始しても、読んでくれる人がいなため、三箇月以内に約九割の人が止めてしまうそうですが、私のブログも殆んど、詠み人知らずならぬ読み人居らず、の状態で、「心が折れ」まくりです。が、それは自分の努力と才能が足りないせいだと諦めるしかありません(諦めきれないから、昨日は何人見てくれたか、たとえばグーグルアナリティクスなんかを覗いて、一喜一憂する訳ですが)。

小さな発見だと自分には思われることが十幾つかあって、それを少しずつ書いて行こうと思っています。その内三つは、既に公開しています。当ブログ内の長文、「それでも核兵器は廃絶できない」「三万人でも三十万人でも同じか」「左翼としてのリベラル」(実際に書いた順)です。
二番目のは全く! 三番目のも殆んど読まれていません(涙)。

本当は、書くのは長文だけで良いのですが、そうすると更新が半年とか一年に一度とかになって、SEO対策上好ましくないようなので、短文を週に一つ書くことにしています。
しかし、これがなかなか大変で大変で(汗)。
エネルギーの乏しい私にはハイペース過ぎます。また、長文に充てるべき時間が、短文にとられたりします。かといって、短文を不定期に書いた時だけ公開しようなどと考えていると、何週間も書かない日が続くのは目に見えています。ですから、できるだけ週に一つ書くようにしたいと思っています。
ブログを毎日とか、二日に一つとか、三日に二つとか更新している人がいますが、バケモノですね。
とにかく、その十幾つかの長文と週一の短文を書いてこの世を退場する、というのが現在の計画です。

この度、ワードプレスを中心にパソコンを先生に教えていただくことになり、ブログの「入れ物」も少しずつ改善して行けるだろうと思います。

何れにせよ、老後の仕事は、ブログと散歩と病院通いとテキトー家事、で決まりです。

女医の増加は無医地区の増加なり

1.医科大学の入試不正問題

東京医科大学での発覚を端緒に、入試不正問題がその他の医大へ波及していきました。
問題になったのは、女子受験生に対する点数操作です。女子は合否判定で不利な扱いを受けていたらしい。それが世の怒りを買い、騒動になりました。

それに対して、医大が男子学生を優先的に合格させていたことを、必要悪とする意見も一部で語られました。
たとえば、医師でタレントの西川史子氏は発言しています。
「女性ばかりを医者にしてしまうと眼科と皮膚科ばかりになってしまう。(中略)外科は女性だと大変です。人の太腿だけで20キロもある。女医だと持てないですね。私は持てません」云々。

その他、結婚や出産もあって女医は離職率が高いこと、休日出勤、夜勤、あるいは夜間の呼び出しに対応できないこと、そのために男性医師に負担がかかるなどの理由が指摘されました。
しかし、そのような主張がかき消されるほど、女性差別は許せないとの声が圧倒しました。

2.無医地区への赴任

次のような想定はどうでしょうか。
若い男性医師なら、単身で、あるいは妻子を伴って、無医村なり、無医地区なりへ赴任するということはありうるでしょう。
では、女性医師の場合はどうでしょうか。単身で、あるいは夫子を伴って無医地区へ赴任するということはありうるでしょうか?
夫も医師で、夫婦揃ってというのでない限り(その場合も女性が離職したり、補助役へ回ったりではないでしょうか)、女医が無医地区へ赴くということはないだろうと思います。たいていの女医は都市部に留まるでしょう。

すると、どうなるでしょうか。
都市部では医師不足は発生しませんが、田舎や僻地、過疎地では医師不足が発生することになります。
医大入試での、女性差別は不当だ!との「正論」が、数十年後には、無医地区の拡大をもたらすことになるのではないでしょうか。

3.「左派の正論」

朝日新聞は2018年8月3日付の社説、「東京医大入試 明らかな女性差別だ」で言っています。

「女性医師の休職や離職が多いのは事実だ。だがそれは、他の多くの職場と同じく、家庭や子どもを持ちながら仕事を続けられる環境が、医療現場に整っていないためだ。(中略)
その解決に向け先頭に立ち、意識改革も図るのが、医療、研究、教育を担う医大の大きな役割ではないか」

朝日新聞が属するメディアの世界では、「家庭や子供を持ちながら仕事を続けられる環境が」「整ってい」るのでしょうか?
東京医大の入試不正を盛大に批判するメディアこそ、そのような環境を作り、模範を示せば良いと思うのですが。

それはともかく、左派はいつも正義派ぶり、抽象的にしか「正論」を語りません。そして、実効性のある改善策は示されないまま、現実は進行します。女医は増えるでしょう。
かくして、女医の増加は無医地区の増加なり、ということになります。

【追記】
「都市部では医師不足は発生しませんが、田舎や僻地、過疎地では医師不足が発生することになります」と書きましたが、「左派の正論」によって、彼らの多くが住む都市部は困らない一方、地方がそのしわ寄せを受けることになる。
これは何かに似ていないでしょうか。
アメリカにおける社会の分断にそっくりです。
割りを食うのは、地方の人たちです。

【関連記事です】
社会の分断の原因

外交思想とは常識のこと

岡崎久彦氏は書いています。

「原敬の政治思想を知ることは容易ではない。
一つには原は、醒め切った現実主義者であり、思想や哲学に興奮したり振りまわされる性格の人間ではなかったからである。
外務次官、朝鮮公使を務め、大阪毎日新聞社社長となってから一九00年、立憲政友会創設に参加したころに発表した評論『外交思想』から引用してみる。
『外交思想なるものがなくてはならないというが、シナ保全論とか分割論とか、漠然たることをいってもしかたがない。外交思想とは常識のことである。
たとえば、条約は相手があるものであり日本の意思だけでは決められないとか、独立国の権利は平等といっても実際上は強弱の別はどうしようもないとか、戦争は相手が一国でもみだりにすべきものではないが、まして二国、三国を相手にすることなどいかなる国でもできないとか、そういう単純なことがわかる国民こそ、外交思想のわかる国民である』」(『幣原喜重郎とその時代』、PHP文庫、128-129頁)

言っても詮ないことですが、大東亜戦争開戦前の政治指導者たちに、原敬氏のこの「常識」が共有されていたならば、と思わずにはいられません。

追記
よもぎねこさんのブログ、「よもぎねこです♪」は凄い!です。
ただ、彼女のと比較すると自分のがみすぼらしく見えて、自信喪失するので要注意(笑)。