杉田水脈発言とマイノリティ

『新潮45』8月号に掲載された杉田水脈議員の論文「『LGBT』支援の度が過ぎる」と、同誌10月号の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」が物議を醸し、9月25日ついに『新潮45』は、「限りなく廃刊に近い休刊」になりました。
元々『新潮45』の売り上げは芳しくなかったようですし、問題を長引かせれば、会社全体の売り上げに響きますから、これ幸いと新潮社は休刊を決めたのでしょう。
以下、三つばかり。

第一。この度の騒動で明らかになったのは、何度も引用しますが、ヴォルテールの「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という言葉がこれだけ人口に膾炙していながら、実際に世に流通した言説は、「私はあなたの意見には反対だ。だからあなたがそれを主張する権利は認めない」ばかりだったことです。驚きです。この立場の人たちが多数派でした。
一方、ヴォルテールの言葉に忠実だった人たちは少数派でした。

第二。『新潮45』編集部が杉田論文を掲載したこと、さらに、その援護射撃のような特集を組んだことに対する批判が、新潮社内部からも起こりました。しかし、政党の機関紙ではあるまいし、出版社はどこも多様な意見を持つ社員たちが集まり仕事をしているはずです。
社内の一部の人たちが反対だからといって止めていたら、そのうちあらゆる出版が不可能になるでしょう。

ところで、出版界は左派が多数派、右派が少数派でしょう。ということは、社内の右派が反対する出版物は廃刊になりにくく、社内の左派が反対するそれは廃刊になりやすいということでしょうか。

第三。杉田氏の主張に反対の人たちの言説を見ると、さもLGBTの人たち全てが同氏の意見に反発しているような印象を受けます。しかし、そうでしょうか。その根拠は?自分が知っている二、三人の例だけで即断していませんか?
杉田氏の意見を何とも思わない、あるいは無関心なLGBTの人たちもいるだろうし、中には、杉田氏に拍手を送る人もあるかもしれません。
そう言うと、アンチ杉田派から怒りの声が聞こえてきそうです。
「そんなのは少数派だ!」

マイノリティを尊重しませう。