雑誌『will』2018年7月号の、石原慎太郎氏と亀井静香氏の「甘辛問答」は面白かった。
亀井氏曰く、
「西部邁、三島由紀夫、そして石原慎太郎・・・・・・これが戦後日本の知の三巨人だなと、つくづく思う」
それに対し、石原氏は、
「僕は違うよ(笑)。三島さんについてはあまりにも知りすぎているから言いたくないけど、あれほど『虚飾』に塗れた人はいなかったな。(中略)彼ほど天才的に肉体能力がなかった人はいない(笑)。(中略)そういった虚飾を塗りつぶすために、最後は楯の会をつくって、割腹自殺を遂げた。(中略)三島由紀夫の写真は、つくりごとを含めて全部インチキだったけど」云々。
また、石原氏は述べています。
「西部より、渡部昇一さんのほうがはるかに巨大な知性の持ち主だったと思う」。
当然の評価でしょう。
渡部氏は文章の力によって世に出た人です。それに対して、西部氏の場合は、「朝まで生テレビ」で名前を売ったテレビ評論家です。ついこの間、西部氏の『戦争論』(日本文芸社、1991年刊)を手にしましたが、文章が曖昧なので途中で読むのを止めました。
石原氏は、次のようにも語っています。
「安保闘争は、本当に上っ面の空騒ぎだったと思う。
ただ、最後まで転向しなかったのは大江健三郎と、小田実だったな。大江はいつかの講演で『日本の若者たちにとって理想の国は北朝鮮しかない』とまで明言している。本人は覚えているかどうか知らないが(笑)」。
不正確な文章という点では、小田氏は相当なものでしたが、西部氏は右派?の小田実だと評して良いかも知れません。
亀井氏の、
「石原さんは絶対に自殺することはないね(笑)」。
との発言に対し、石原氏は、
「ないな(笑)」。
と答えています。
西部氏は今年1月21日に自殺をしました。氏は自殺することによって、自ら設計主義者、リセット主義者であることを証明してしまったのだと思います。