オウム事件、真相は必ず解明できるか

「あれだけだいそれたことをやったからには、それなりの理由があるに違いない」。

坂本弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件がオウム真理教による犯行だと発覚し、世間の人たち、とりわけ左派の人たちが抱いたのは、以上のような感想でしょう。その点、9.11テロの場合も同じでした。
ところが、教祖以下、実行犯が逮捕され、裁判になっても、一向に皆が期待した解答が得られません。裁判が始まってから二十年以上が経って、今年7月教団元代表の麻原彰晃以下12名が死刑になりました。「それなりの理由」は不明なままです。
もし彼らがテロを行った合理的な理由があるのなら、二十年以上も時間はあったのだから、しかも13名に対して死刑判決が下ったのだから、誰かがその一端でも述べることがあっても良さそうなものです。

たぶん尊師でさえ、何をしたかったのか自覚がなかったのではないでしょうか。「あれだけだいそれたことをやった」にも拘らず、合理的な理由はなかったと解するのが合理的ではないでしょうか。
朝日新聞の元編集委員氏は書いています。

「なぜ私たちの社会に、私たちの時代に、あのような集団が生まれ、事件が起きたのか。死刑囚全員の死刑執行によって、私たちはその真相を知る機会を永遠になくしてしまったのかもしれない」(朝日新聞2018・7・27)。

相変わらず、思わせぶりですが、首謀者当人にさえ目的が明確に意識されていなかった、そのようなテロの真相の究明は可能なのでしょうか?

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9・11テロ、その動機と目的

2001年9月11日、乗員・乗客をのせた旅客機がテロリストたちに乗っ取られ、その内の二機がニューヨークのツインタワーに激突し、ビルが崩落したのは衝撃的でした。多くの人たちはテレビに釘付けだったでしょう。それもさることながら、その事件の後の、わが国の少なからぬ人たちの発言も驚きでした。
テロの首謀者オサマ・ビンラディンは、テロの目的を語っていません。それなのに、日本の評論家やジャーナリストは、彼の動機を忖度し、あれやこれや放言していました。たとえば、「アメリカは反省しなければならない」。
そもそも、テロリストの動機がはっきりしないのに、アメリカは何をどう反省せよというのでしょうか。
彼らは、「テロリストの動機」と、「『テロリストの動機』だと自分が考えること」の区別さえついていないようでした。自らの反米的意見、というよりも感情をテロリストに仮託しただけなのでしょう。
ビンラディンは、2011年5月2日パキスタンの隠れ家で米特殊部隊に殺害されるまで、テロの目的を語る時間も手段もあったはずです。にも拘らず、彼は私たちが納得できるように説明することはありませんでした。
あるいは、一次資料を用いて、彼の目的を証明しえたジャーナリストも学者もいないだろうと思います。
たぶん、首謀者当人さえ、何が目標なのか分かっていなかったのではないでしょうか。アメリカに対する愉快犯、というよりも不愉快犯だったのかもしれません。
9・11テロの原因=テロリストの動機は何だったのでしょうか。それは分からない、としか答えようがありません。

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