過労死・過労自殺を減らすために

2015年12月、電通の若い女性新入社員が過労自殺をし、それが話題になりました。しかし、世間はこのことを、そのうち忘れてしまうでしょう。
「過労死110番」に三十年間かかわってきたという川人博弁護士は、次のように述べたとのことです。
「我々が110番を続けているのは、職場の過労の実態が変わらないからだ。30年続いたのは、いいことではない。非常に深刻な問題です」(朝日新聞、2017年7月31日付)。
同氏は、また語っています。
「過労死防止法の施行後も、日本の職場の現状が全く変わっていない」(同前、2016年10月26日付)。
どうして過労死、過労自殺は減らないのでしょうか。
経営者がほぼ毎日従業員の顔を見ているような、社員数が十人以下の零細企業ならともかく、数百人、数千人、数万人を擁するような企業の経営陣にとって、過労死、過労自殺の発生は青天の霹靂でしょう。
過労死や過労自殺(以下過労死等)の報道を見ていていつも思うのは、彼または彼女の上役は何をしていたのだろうかということです。
確かに会社は営利法人ですから売り上げをあげ、利益を出さなければなりません。しかし、下役の尻を叩くだけが上役の仕事ではないでしょう。彼は部下の顔を見て、心身の健康を気遣う必要があります。過労死等発生現場の上役は、それをしていなかったのではないでしょうか。自身の出世のために、下役を酷使する上役は少なくないでしょう。
私自身の経験に照らしても、上役は社歴が長いとか、年長であるといった理由で、単に上役になっている例が少なくないように思います。
企業は過労死等を無くす対策を講じるべきなのは言うまでもありません。しかし、社員数が多い会社では、経営陣による社内の隅々までの目配りは不可能だと思います。
過労死等が減らない原因は、責任の全てを会社自体やその上層部に押しつけて、直属の上役の責任を不問に付しているからではないでしょうか。
直属の上役の認定制度を作り(組織上それが明確でない企業もあるでしょうから)、過労死等が発生した場合は、その補償の一部を負担させるなど、彼(彼女)に何らかのペナルティを科すような制度化を施すべきだと思います。
そうすれば、能力が不足しているのに上役になりたがる者を抑制することができるでしょうし、ひいては過労死等を減らすことができるのではないでしょうか。

追記
直属の上役も弱者で、全ての責任は会社及びその上層部に負わせるべきだと考える人もあるかもしれません。しかし、そのような思考も過労死等を減らせない原因の一つかと思います

 

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